アラフォー・アラフィフ世代が親の介護に直面し、苦労されている様子をしばしば耳にします。コロナ禍で外出自粛が続き、在宅介護をされている世帯であれば、さらに負担感は大きいでしょう。

とりわけ認知症の親御さんを介護する生活は、心が張り裂けそうになることも多いようです。

厚生労働省によると、2020年時点で65歳以上の認知症患者は約600万人。2025年には700万人に増え、実に高齢者の5人に1人が認知症になることが見込まれています。

認知症はもはや「誰でもかかる可能性がある病気」といってよいでしょう。

今回は「お金の終活」を軸に、FPの視点からお話ししてまいります。認知症になる前の元気なうちに、シニア世代自身、そして親を見守る子ども世代がやっておくべきことを考えていきましょう。

40代~50代の「お金の終活」まずは資料の整理から!

まずは認知症対策に的を絞らず、アラフォー・アラフィフ世代のみなさんにぜひ実践していただきたい「お金の終活」についてお話ししましょう。

お金に関係する資料を、3つのステップで、「手間をかけず・分かりやすく」整理していきます。

■ステップ1■資産管理用のクリアファイルを1冊用意する

冊子タイプのクリアファイルを準備します。20~30ポケットくらいがちょうどよいでしょう。100円均一ショップなどでも購入できますね!

■ステップ2■「預貯金・保険・投資」に書類を分ける

タンスや机の引き出し、カバンの中など色々なところに分散している「預貯金の通帳」「保険証券」「投資に関する資料(例:運用報告書や月報など)」を、まずは一か所に集めます。

 ■ステップ3■種類ごと・金融機関ごとに「ステップ1」で用意したクリアファイルに入れていく

1.預貯金

通帳があれば一番分かりやすいですね。とはいえ、ネットバンクを利用する人も多く、通帳が発行されない口座も増えています。

通帳がある人は通帳をクリアファイルに一つずつ入れておくだけで立派な整理作業になります。ネットバンクをお使いの人は、金融機関名と支店名・口座番号などの口座情報を記入したメモ用紙を入れておきましょう。

2.保険

生命保険などの「保険証書」も大切です。これがないと保険金の請求がスムーズにできない可能性があります。見当たらない場合は保険会社に連絡し、証書の再発行を依頼してください。

定期的に郵送されてくる「保険内容のお知らせ」などがあれば、保険証書とセットで保管しておきましょう。

3.投資

複数の証券会社に口座をお持ちの場合は、証券会社ごとに一つにまとめるのがもっとも分かりやすい方法です。ネット証券会社で口座を開設されている場合は、口座情報を書いたメモ用紙をクリアファイルに入れておきましょう。

また投資商品の種類ごと(例:投資信託・株式・債券・金など)に一つにまとめても分かりやすいですね。

4.その他

不動産に関する権利書やゴルフ会員権などについても、まとめて保管します。

大切なのは、すべての資産をわかりやすく「手間をかけず」資料を整理することです。