女性が労働人口のほぼ半数の44.3%を占めるなか、給与面では男女差が大きいのが現状です。
2020年分の国税庁データ(※)によると、1人あたりの平均給与は男性532万円、女性293万円と大きな格差があります。出産などのライフイベントによって、女性は働き方に影響を受けやすく、それが給与事情にも反映されている、といったところでしょうか。
今回は、働き方やお給料によって変わってくる、老後の「年金受給額」に注目していきます。
2021年度のモデル世帯(夫がサラリーマン・妻が専業主婦の夫婦)が受け取る年金は月額22万724円ですが、ひとりで年金を「月20万円超」受け取る女性はどれほどいるでしょうか。
※国税庁「令和2年分(2020年)分 民間給与実態統計調査」
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年金制度のしくみをおさらい!
年金受給額をみていく前に、日本の公的年金のしくみを確認していきましょう。
公的年金制度は「2階建て構造」といわれ、1階部分にあたる「国民年金」は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象です。自営業や専業主婦(夫)はこの「国民年金」のみを受け取ります。
国民年金の保険料(※1)は、定額制(保険料額=基本額1万7000円×保険料改定率)です。20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付すれば「満額※2」(78万900円×改定率)が受け取れます。納付期間が足りない場合はその割合を満額から差引く計算方式をとっています。
2021年度・国民年金保険料・受給額(満額)
下記はいずれも「月額」です。
※1 国民年金保険料…1万6610円
※2 国民年金の満額…6万5075円
2階部分の「厚生年金」は会社員や公務員などが、国民年金に上乗せして加入するものです。収入に応じた厚生年金保険料を給与天引きで納めます。
「ひとり分の年金月額」平均いくら?
厚生労働省年金局公表の「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」から、国民年金と厚生年金の受給額をみていきます。
国民年金・平均年金月額
全体…5万5946円(男性…5万8866円・女性…5万3699円)
国民年金は納付した期間に応じて給付額が決定しますので、男女差があまりありませんね。
厚生年金保険(第1号)・平均年金月額
全体…14万4268円(男性…16万4770円・女性…10万3159円)
※国民年金の受給額を含みます
報酬比例の厚生年金は、どれだけの期間勤務しているか、毎月の報酬月額はいくらか、などが受給額を大きく左右するしくみです。現代のお給料面の男女差も大きいですが、シニアが受け取る年金額も男女差6万円と、差が大きいですね。
「どのくらいの人」が「いくら」年金を受給しているか
ここからは平均ではわからない、「どのくらいの人」が「いくら」年金を受給しているか、分布を見ていきましょう。
まずは男性の年金月額の分布から。
【男性】厚生年金保険(第1号)年金月額の分布
~5万円未満:15万977人・5万~10万円未満:97万6724人
10万~15万円未満:261万3866人・15万~20万円未満:436万9884人
20万~25万円未満:224万9128人
25万~30万円未満:28万8776人・30万円以上:1万7626人
男性の厚生年金受給額のボリュームゾーンは「15~20万円未満」でした。男性平均の16万4770円もちょうどこのボリュームゾーンに当てはまっていますね。月20万超えの男性は約24%、およそ4人に1人ですね。
では女性の厚生年金受給額はどうでしょう?次で見ていきます。