定員割れが進む私立大学、地方では特に厳しい状況

次に、定員割れの現状をみてみましょう。日本私立学校振興・共済事業団が今年9月に発表した「令和3(2021)年度 私立大学・短期大学等入学志願動向」によると、入学定員充足率が100%未満、いわゆる定員割れしている私立大学が集計対象の半数近い46.4%にあたる277校に上りました。

前年度の同調査では184校(31.0%)だったことを踏まえると、1年で急激に定員割れが進んだことが見て取れます。入学定員数ごとの充足率の増減では、3000人以上の大学では前年度をわずかに上回っていますが、3000人未満では軒並み前年度より充足率が悪化している状況です。

また、全国を21の地域に区分した結果では、前年度からの充足率の低下が大きかった地域は以下のようになっています。

  1. 近畿(京都府・大阪府・兵庫県を除く):105.70%→93.54%(△12.16)
  2. 中国(広島県を除く):97.25%→87.91%(△9.34)
  3. 北陸:106.93%→97.65%(△9.28)

このように、人口減と直面している地方の私立大学は厳しい状況に置かれていますが、大都市圏も安泰ではありません。東京都が101.16%→100.80%(△0.36)、大阪府で105.60%→103.74%(△1.86)と、たとえ定員割れが起きていなくても、京都府を除く全ての地域で前年よりも充足率が減少しているのです。

人口動態からみても、何もしなければ定員割れが加速するのは時間の問題。そのため各大学の入学者集めが熱を帯びると予想されます。とはいえ、安易に合格手形を出すと入学者の学力や大学のレベルを下げることにつながりかねません。下手をすると大学の評価を落としかねないので、長期的な改革プランを立てることが急務となっています。

人口減でも大学進学率が上昇していることもあり、人気のある大学に志願者が集中する二極化も進んでいます。受験生が学びたいと思うようなカリキュラムや学部学科の再編成をしていかなければ生き残れない厳しい時代になっていると言えるでしょう。

参考資料

※私立大学の校数について、文部科学省では募集停止している大学を含めてカウント、日本私立学校振興・共済事業団では募集している学校のみカウントしている。

中山 まち子