最長1年6カ月の支給期間が「通算」に

これまで傷病手当金が支給される期間は、「支給開始した日から」最長1年6ヵ月でした。支給開始日~1年6ヶ月の間に職場に復帰して給与の支払いがあれば、その期間は不支給期間になります。そうなると1年6ヶ月分すべてをもらうことはできませんでした。

また、支給開始後に1年6ヵ月を超えた場合、仕事に就くことができないくても傷病手当金は支給されません。

しかし2022年1月1日より、この1年6ヶ月が「通算」に変わります。途中で不支給だった期間はのぞいて、「1年6ヶ月分」は支給されるようになりました。

厚生労働省が2020年3月26日に公表した「傷病手当金について」によると、協会けんぽにおける傷病手当金の疾病割合で多くを占めるのは「精神及び行動の障害、新生物(がん)、循環器系の疾患、筋骨格系・結合組織疾患」など。平均支給期間は164日 (精神疾患:212日、新生物:180日)です。

また、同資料によるとがん患者の約3人に1人は20代~60代で罹患。悪性新生物の治療のために仕事をしながら通院している人は36.5万人です。

新生物(がん)や循環器系の疾患は珍しくない病気です。たとえば子育て中の女性がこれらの病気になって仕事を休む場合、収入が減るだけでなく、子どもを預ける費用など想定外の出費もかかるでしょう。

このようなリスクを考えると、病気やケガをしても条件を満たせば来年からは通算で1年6ヶ月間給与の3分の2相当が支給されると心強いですね。