貯蓄2000万円あれば老後は大丈夫?

では、貯蓄が2000万円あれば老後は安泰と言い切れそうでしょうか。

2019年に注目を集めた「老後2000万円問題」を振り返ってみましょう。高齢夫婦無職世帯「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」で、年金収入と支出から月の不足額が約5万5000円、老後30年間で2000万円不足するという試算でした。

これが「老後2000万円問題」のイメージ!

この試算に使われた総務省の家計調査ですが、2021年公表分(2020年度)ではコロナ禍で娯楽などの支出が減ったことなどの影響を受け、実は1000円台の黒字に転じています。

とはいえ、「貯金しなくても大丈夫!」というわけではなさそうです。いずれの年の試算も、持ち家であることが想定されていたり、介護費用が含まれていなかったり、といったいくつかの盲点があります。

生命保険文化センターの調査によると、平均介護期間は4年7カ月。この期間、高齢者施設に入居した場合、どの程度費用がかかりそうでしょうか。LIFULL介護「老人ホームの費用相場」を参考に、入居時費用などをあわせた平均額を出してみました。

  • サービス付き高齢者向け住宅(主に自立状態の方向け):約900万円
  • 有料老人ホーム費用(主に要介護状態の方が対象):約1800万円

居住環境や健康状態によっては貯蓄が2000万円あっても安心とは言い切れなさそうですね。