「多様化」という言葉を耳にする機会が増えましたね。世帯のあり方にも、さまざまな形が見られるようになりました。

これまでは「夫婦と子」からなる世帯が主流だった感があります。これが、将来的には単独世帯が全体の約4割を占めることも予測されています。世帯の姿もまさに多様化が進行中といえそうです。

私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまからお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ今回はさまざまな世帯状況を想定した「年金額」についてお話していきます。

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年金制度のおさらい

まずは年金制度のしくみを復習しておきましょう。

国民年金(基礎年金)は、日本国内に住むすべての20歳から60歳の人を加入対象としています。

年金保険料は定額制(保険料額=基本額1万7000円×保険料改定率)をとっており、20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付すれば「満額」(78万900円×改定率)が受け取れ、納付期間が足りない場合はその割合を満額から差し引く計算方式をとっています。

一方、厚生年金は国民年金に上乗せする形で報酬比例の年金を支給する制度です。

そのため、勤務先にそもそも厚生年金の制度があるのか、どれだけの期間勤務しているか、毎月の報酬月額はいくらか、などが受給額に大きく影響する仕組みとなっています。

上記のことから、日本の公的年金制度は「2階建て構造」などと呼ばれています。

国民年金(基礎年金)はいくら受け取れるのか

自営業・フリーランスなどの「第1号被保険者」や、専業主婦(主夫)などの「第3号被保険者」は、老後に国民年金(老齢基礎年金)を受け取ります。

厚生労働省年金局が公表する「令和元年度(2019年)厚生年金・国民年金事業年報」より、国民年金の年金月額をみていきましょう。

国民年金(基礎年金)の受給額事情

男女差はさほどありません。

国民年金・平均年金月額

  • 全体…5万5946円(男性…5万8866円・女性…5万3699円)

国民年金【男性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
~1万円未満…1万2693人・1万円以上~2万円未満…6万803人
2万円以上~3万円未満…22万1983人・3万円以上~4万円未満…70万6206人
4万円以上~5万円未満…134万5582人・5万円以上~6万円未満…312万4529人
6万円以上~7万円未満…849万4551人・7万円以上…38万1323人

国民年金【女性】年金月額階級別老齢年金受給権者数
~1万円未満…6万6247人・1万円以上~2万円未満…24万4695人
2万円以上~3万円未満…74万63人・3万円以上~4万円未満…226万4161人
4万円以上~5万円未満…336万406人・5万円以上~6万円未満…454万1337人
6万円以上~7万円未満…598万7227人・7万円以上…144万306人

国民年金(基礎年金)の受給額にはさほど男女の差はないようです。

冒頭で触れた通り、国民年金保険料は全員一律の定額制。40年間すべて保険料を納付すれば「満額」が受け取れ、納付期間が足りない場合はその割合を満額から差し引く計算方式をとっているためです。