ひとり暮らしのシニア世帯「支出・収支」結果の盲点
前述の、単身シニア世帯の家計収支には留意すべき点がいくつかあります。支出に介護費用の項目が考慮されていない点、住居費が1万円台前半で設定されている点などです。
介護が必要になった場合、公的介護保険の自己負担額の上限(原則1割。所得に応じて2割・3割)を超える部分は自己負担です。また、ひとり暮らしの場合、家事や介護で人手を頼る機会が想像以上に増えるケースもあるでしょう。
また、「コロナ1年目」の2020年は、全世代に共通して交際費や教育娯楽費などが減り、「特別収入」が大きく増える傾向がみられました。密を避け、在宅時間が増えたことや「特別給付金の支給」が家計の収支に如実に響いた結果といえるでしょう。
よって、さきほどの支出平均は、あくまでも「必要最低限の生活費」の目安と考えましょう。毎月の赤字が8000円程度では済まないことを想定しておいたほうがよさそうです。
家計調査の結果はあくまでも平均値です。今後も調査年によって数値が動く可能性があることも頭に入れておきたいところですね。
※老後2000万円問題…「高齢無職世帯夫婦(夫65歳以上・妻60歳以上)が老後30年を生きる場合、公的年金以外に2000万円の老後資金が必要」とする試算。2019年に金融庁のレポートで公表され、話題に。