「令和3年(2021年)版 高齢社会白書」によると、2019年、65歳以上の人がいる世帯数は、全世帯のほぼ半分にあたる約2558万世帯でした。このうちの28.8%が単独世帯。夫婦のみの世帯(32.3%)に肩を並べるほどの割合です。

今回は、ひとりで暮らすシニア世帯のお金事情について、「家計の収支・年金・貯蓄」にそれぞれフォーカスしていきます。

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老後のひとり暮らし「ひと月の家計収支」のバランスは?

まず、シニアの一人暮らしの、月の家計の収支バランスを見ていきます。総務省統計局が公表する「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年) 家計の概要」を参考にします。

65歳以上・無職「単身世帯」の収入(2020年)

収入合計:13万6964円

  • 社会保障給付(公的年金など):12万1942円
  • 仕送り金:1034円
  • その他:1万3988円

65歳以上・無職「単身世帯」の支出(2020年)

支出合計:14万4687円

消費支出:13万3146円

  • 食費:3万6581円
  • 住居:1万2392円
  • 光熱・水道:1万2957円
  • 家具・家事用品:5328円
  • 被服及び履物:3181円
  • 保健医療:8246円
  • 交通・通信:1万2002円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:1万2910円
  • その他の消費支出(交際費や諸雑費など):2万9549円

非消費支出(税金や社会保険料):1万1541円

この結果によると、ひとり暮らしのシニア世帯は「毎月7723円の赤字」です。

夫婦のシニア世帯については、2017年の家計調査結果をもとにした試算が、「老後2000万円問題(※)」の根拠となり、かつて話題になりました。

3年前(2017年)の60歳以上・単身世帯の収支を見ると、「実収入11万4027円、実支出(非消費支出1万2544円、消費支出14万2198円)」、よって、不足分は4万715円でした。

2020年のデータは「65歳以上世帯」のものなので単純比較はできませんが、シニア世帯の家計の収支も、この3年間で大幅な赤字改善が見られたことは確かであるといえそうです。