今年(2021年)9月、デジタル庁が発足。遅れていた行政のデジタル化加速に向けた動きが始まっています。この20年でビジネスシーンはICTの発達で大きな変貌を遂げた一方、学校では「板書スタイル」を基本とする旧来型の授業が続いてきました。

ところが2020年春、新型コロナによる臨時休校を機にオンライン授業を求める声が保護者や児童生徒から上がり、文部科学省ではGIGAスクール構想を打ち出して学校教育現場でのICT端末導入を急速に進めています。

こうして2020年から2021年にかけてオンライン授業への認知度や期待が高まりましたが、コロナ禍以前の日本の高校生は、アメリカや中国、韓国と比べてオンライン学習に対する意識や経験値に差があったようです。

デジタル化の波に乗れずにいた日本の教育

独立行政法人国立青少年教育振興会が、2019年9月に日本を含む4カ国の高校生に対して実施した調査「高校生のオンライン学習に関する意識調査報告書 -日本・米国・中国・韓国の比較-」の結果が、臨時休校に揺れていた2020年5月に公表されました。

コロナ禍以前の調査という点は考慮すべきですが、2年前の時点で米中韓と日本の高校生には大きな差があります。

まず、「オンライン学習を経験している」と答えた高校生の割合は、韓国72.4%、米国70.8%、中国58.3%。一方、同じ設問に「経験あり」とした日本の高校生は48.8%と過半数をわずかですが下回り、4か国中最も低くなっています。

日本では私立学校や先進的な教育を実施している国公立学校を除くと、パソコンやタブレット端末を使用して授業や学習が行われる機会は全国的に少ない状況だったのです。