「3組に1組は離婚する」と聞いたことがある方も多いと思いますが、このデータは年間あたりの離婚数を婚姻数で割ったものからきているようです。生命保険文化センターによると、1980年の離婚件数は約14.2万件ですが、2019年には約20.8万件と約1.5倍になります。

離婚は「人生100年時代」において、選択肢の一つになっているのはたしかでしょう。離婚後のライフプランを考える上でも、自分ひとりの年金見込み額を知ることは大事ですね。

そこで本日は、FPの資格を持ち、証券会社にて約20年資産運用コンサルティングに携わってきた私から、女性ひとり分の厚生年金と老後の生活についてかお話をさせていただきたいと思います。

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女性の厚生年金受給額

まずはじめに、女性1人分の場合は厚生年金の受給額がいくらになるのかをみていきましょう。厚生労働省年金局「令和元年度(2019年)厚生年金・国民年金事業の概況」によると、受給月額の分布は以下のとおりです。

〈女性〉厚生年金保険 年金月額階級別老齢年金受給権者数

  • ~5万円未満:31万5100人
  • 5万円~10万円未満:234万1321人
  • 10万円~15万円未満:218万2510人
  • 15万円~20万円未満:41万2963人
  • 20万円~25万円未満:6万3539人
  • 25万円~30万円未満:4166人
  • 30万円以上:379人

平均額:10万3159円

ボリュームゾーンは平均受給額の前後となっており、5万円~10万円未満が全体の44%、10万~15万円未満が41%。約10万円でひとりで老後生活を送るには、心もとないと感じた方も多いでしょう。

しかし、現時点で年金を受給している世代と比べると、いまの現役世代は共働きも一般的になってきました。そのため、女性も厚生年金の加入期間が長い傾向になると考えられます。その分、受給額が多くなることは期待できるでしょう。

離婚したら年金はどうなる?

婚姻期間中に築いた財産は「夫婦の共有財産」とされており、それは年金についても言えます。年金も夫婦の共有財産から支払っていたため、離婚時に年金を分割することが可能。これを「年金分割制度」といいます。

年金分割制度は、夫婦の不公平をカバーするための制度。そのため、20歳以上なら誰でも加入する国民年金でなく、厚生年金部分を分割します。

夫が自営業やフリーランスの場合は、分割できないので注意しましょう。また、あくまで夫婦の不公平を正す目的なので、妻の収入が多い場合には妻の年金を分割することになります。

厚生年金の分割の種類は2つ

年金の分割には「合意分割」と「3号分割」があります。それぞれに対象や条件が異なるため確認しておきましょう。

合意分割

対象:婚姻期間中の保険料納付記録があること

  • 平成19年4月1日以後に離婚、もしくは事実婚関係を解消 
  • 2人の合意や裁判手続きにより、年金分割の割合が定められている
  • 請求期限(離婚をした日の翌日から2年)内であること

3号分割

対象:国民年金第3号被保険者であった方からの請求により、婚姻期間中の相手の保険料納付記録を2分の1ずつ分割できる。

  • 平成20年5月1日以後に離婚、もしくは事実婚関係を解消
  • 平成20年4月1日以後に、夫婦どちらかに国民年金の第3号被保険者期間がある 
  • 請求期限(離婚をした日の翌日から2年)内である


名前のとおり、夫婦ふたりの合意が必要なのが「合意分割」、第3号被保険者からの請求で手続きができるのが「3号分割」です。

どちらの年金分割制度も、離婚した日の翌日から2年以内が期限です。手続き漏れがないよう注意して、早めに行うといいでしょう。

自分ひとりの老後の生活費はいくら?

では、ひとりで老後生活を過ごす場合の生活をイメージしてみましょう。

生命保険文化センター「リスクに備える生活設計」によれば、2019年の65歳以上の単身無職世帯の平均支出は13万8623円。支出の内訳は以下になります。

65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の支出の内訳

  • 食糧費:3万5477円
  • 教養・娯楽費:1万6105円
  • 住居費:1万3110円
  • 光熱・水道費:1万2973円
  • 交通・通信費:1万2672円
  • 保険・医療費:8469円
  • 家具・家事用品費:5573円
  • 被服及び履物費:3608円
  • 教育費:50円
  • その他(うち交際費):3万586円(1万5527円)

注目していただきたい項目は、住居費用の1万3110円です。現実的ではない金額となっていますが、これは平均値を出すときに持ち家の方も含めた総数で割っているからです。

離婚時の話し合いで、「マイホームに住み続ける場合・売却しそれぞれ賃貸になる場合・もともと賃貸だった場合」によって住居費用は違ってきます。賃貸の場合は、数万円上乗せして考える必要がありますね。

となると、先ほど見た厚生年金受給額では「毎月赤字になり預金を取り崩す」可能性が高そうです。

老後資金の準備は早めに考えよう

厚生年金額や離婚分割制度、そしてひとりで過ごす老後のイメージを見てきました。平均値のデータになりますが、女性が年金のみで老後生活を過ごすのは難しいでしょう。そういった現状から、金銭的な理由で離婚に踏み切れないという方もいらっしゃると思います。

「人生100年時代」において、主役であるご自身の人生が後悔のないように、経済的自由は必須項目です。

そのため、いざというときの選択肢を広げることは重要。日々の家計管理だけではなく、働き方を考えたり、将来を見据えた資産運用も行っておくといいのではないでしょうか。

資産運用がはじめての方は、オンラインセミナーなど活用するとスタートラインに近づくかもしれませんね。

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参考資料