2019年に話題になった「老後2000万円問題」。
政府から「年金収入だけでは、老後生活はまかなえない」と提示されたに等しく、当時は大きな衝撃を持って受け止められました。この話題がきっかけで、老後資金の備えを真剣に考え始めた方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、証券会社でファイナンシャルアドバイザーとして資産運用に携わってきた私から、老後生活の入り口とも言える60代の貯蓄実態についてご紹介していきたいと思います。
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60代の貯蓄実態
さっそく、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」から、貯蓄がある60代世帯は一体どれくらいの金融資産を保有しているのか見ていきましょう。
60代世帯の金融資産保有額(金融資産保有世帯のみ】
- 平均値:2154万円
- 中央値:1465万円
【保有額別の分布】
- 100万円未満:4.3%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:4.9%
- 300~400万円未満:4.0%
- 400~500万円未満:4.9%
- 500~700万円未満:6.5%
- 700~1000万円未満:9.2%
- 1000~1500万円未満:9.2%
- 1500~2000万円未満:7.7%
- 2000~3000万円未満:16.3%
- 3000万円以上:24.0%
- 無回答:4.0%
平均値は、少数のお金持ちの資産額に数値が引っ張られる傾向にあるため、ここでは中央値の1465万円のほうがより実態を示していると言えるでしょう。
しかしながら、ここで注目すべきは金融資産「1000万円以下世帯」と「2000万円以上世帯」が、全体の約4割ずつ存在しているという点です。
中央値は1465万円であるものの、実際には金融資産を保有している世帯の中でも、格差が大きいことが読み取れるのではないでしょうか。