長かった緊急事態宣言も解除されました。まだまだ不安はある中でも、少しずつコロナ前の生活に向けて動き出しているように感じているのは、おそらく私だけではないと思います。

外出の機会が増えてくると、一時期コロナ禍で抑えられていた支出(交際費や服飾費など)が「増えそう(元に戻りそう)」と、ふところ事情が気になるという方も多いかもしれませんね。

実はふところ事情が確実に変化するタイミングは、将来誰しもにやってきます。皆さんはそのタイミングを既に意識していますか?

それが、老後にやってくる年金生活です。仕事をリタイアした後は、公的年金が主な収入となる、という方が大半ではないかと思います。

私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまからお金のご相談を受けてきました。その経験もふまえ、今のシニア世代の受給額事情を参考に、さまざまなケースでの年金受給額例を比較していきます。

年金制度のしくみ

本題に入る前に、まずは年金制度の仕組みをおさらいしておきましょう。

年金制度を復習!

1階部分は「国民年金」、2階部分が「厚生年金」

国民年金(基礎年金)は、日本国内に住むすべての20歳から60歳の人を加入対象としています。

年金保険料は定額制(保険料額=基本額1万7000円×保険料改定率)をとっており、20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付すれば「満額」(78万900円×改定率)が受け取れます。納付期間が足りない場合はその割合を満額から差し引く計算方式をとっています。

一方、厚生年金は国民年金に上乗せする形で報酬比例の年金を支給する制度です。

そのため、勤務先にそもそも厚生年金の制度があるのか、どれだけの期間勤務しているか、毎月の報酬月額はいくらか、などが受給額に大きく影響する仕組みとなっています。

上記のことから、日本の年金制度は「2階建て構造」などと呼ばれています。