シングル世帯や共働き世帯はどれだけ受け取れるのか

ここまでの話を踏まえ、今度は「世帯単位」の受給額に目を向けます。男性・女性がそれぞれの平均月額を受け取ると仮定し、「8つの受給パターン」に分けて、夫婦世帯・おひとりさま(単身世帯)の受給額事情をみていきましょう。

夫婦世帯

①夫婦ともに厚生年金・・・26万7929円(夫16万4770円+妻10万3159円)
②夫が厚生年金+妻が国民年金・・・21万8469円(夫16万4770円+妻5万3699円)
③夫が国民年金+妻が厚生年金・・・16万2025円(夫5万8866円+妻10万3159円)
④夫婦ともに国民年金・・・11万2565円(夫5万8866円+妻5万3699円)

シングル世帯

⑤男性・厚生年金・・・16万4770円
⑥女性・厚生年金・・・10万3159円
⑦男性・国民年金・・・5万8866円
⑧女性・国民年金・・・5万3699円

①~⑧はあくまでも平均に基づく受給額例ですが、世帯の構成や働き方による年金額のはイメージできますね。

とりわけ厚生年金については、現役時代の働き方や毎月の報酬額が将来の年金額を大きく左右します。現在の仕事が「今の収入」だけでなく「老後の収入」へも直結することは、頭の片隅に入れておいたほうがよいかもしれません。

年金だけで老後の生活はまかなえそうか?

老後の生活にかかる費用は世帯によってそれぞれです。とはいえ、ライフスタイルを大切にしながらゆったりと過ごしたい気持ちは私たちすべてにとって共通の願いでしょう。

ここまでのデータをふまえ、リタイヤ後の生活を年金「だけ」に頼ることに不安を感じた方も多くいらっしゃると思います。特に国民年金(基礎年金)だけを受給する場合は、早い段階で付加保険料の納付や国民年金基金の加入など、自力で年金月額を増やす工夫を始める必要があるかもしれません。

また、国民年金よりは手厚い受給額が期待できる厚生年金受給者の方も、今後の働き方によっては受け取れる年金額がどうなるかはわかりません。

自分は将来どのくらいの年金を受け取ることができるのか、まずはその目安を確認されることをおすすめします。

ねんきん定期便だけでなく、ねんきんネットを活用すれば、詳細な条件を入力して将来の受取額をシュミレーションすることが可能です。

老後のお金は自分でつくる

低金利時代と呼ばれるいま、預貯金で漠然とお金を持ち続けていても、受け取る金利はほんのわずか。お金を「増やす」ことには繋がりにくいといえるでしょう。

そこでぜひ視野に入れていただきたいのが「お金に働いてもらう」という発想、つまり「資産運用」のスタートです。公的な年金だけに頼らず、自助努力で資産を増やしていければ老後の安心につながるでしょう。

資産運用には「長期・分散・積立」という3つのキーワードがあります。

貯蓄とは異なり、資産運用には元本保証はありません。そのため、集中的に投資をするのではなく、リスクを分散しながら積立を長期間で行えるかどうかがカギを握ります。

時間を味方にできれば、資産運用の結果も期待できる可能性が高まるといえるかもしれませんね。

未来のふところ事情の変化は間違いなくやってきます。「今から」準備を始めることができれば、焦ることなく安心したセカンドライフを過ごすことができるでしょう。

資産運用でお金を育てるしくみ作りの「ファーストステップ」を、いま、踏み出してみませんか。

参考資料

吉田 奈都子