若い世代の方でも、自分の老後の年金に不安を感じる方は増えているでしょう。一因として、少子高齢化により年金額はこれから減る一方など、ネガティブな情報が多い点も考えられます。2021年9月10日には田村憲久厚生労働大臣が、厚生年金の財源を基礎年金(国民年金)に振り分けるという年金制度の改革案について言及しました。

特に女性の場合、今のシニア世代においても男性に比べて年金額が少ない傾向にあるため、早めに老後対策をしたほうがいいでしょう。

本日はFPの資格を持つ私から、年金制度の年金改革案に触れながら簡単におさらいした後、現在の厚生年金の受給額を男女別にみながら解説していきます。

厚生年金と国民年金の制度とは?

はじめに、年金の違いについておさらいしましょう。日本の年金は、国民年金と厚生年金の「2階建て」と言われています。

国民年金…基本的に20歳以上の方が全員加入するもの。年金の1階部分。
厚生年金…会社員や公務員など勤めている方が加入するもの。上乗せとなる2階部分。

国民年金の計算方法は、「78万900円×保険料納付済月数÷480カ月(それ以外にも全面免除など加味されます)」となりますので、納付した月数によって決まります。一方で、厚生年金は「年金額=報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額(65歳以上の場合)」となっており、報酬比例年金が主になります。

厚生年金は、現役時代の収入と加入期間によって決まるため、差がひらきやすいとも言われているのですね。

また、給付水準については、平成16年の制度改正によりマクロ経済スライドを導入しています。これは賃金や物価による年金額の改定率を調整して、ゆるやかに年金の給付水準を調整する仕組みです。

先ほどの田村大臣の年金制度の改革案ですが、基礎年金(国民年金)の水準が目減りするのは、マクロ経済スライドが長期的なデフレにより発動されないことで給付水準の調整が長期化し、先に調整が行われる基礎年金の水準が悪くなり、2階部分の厚生年金は逆に財政がよくなったため、ということです。

しかし、厚生年金も限られた財源であるため、会社員などが本来受給できる受給額が減少する可能性もあるでしょう。

それでは、今のシニア世代はどれくらい厚生年金を受給しているのでしょか。その金額をながめていきます。