国税庁が2021年9月21日に公表した「令和2年(2020年)分 民間給与実態統計調査」で示された、1年間を通じて勤務した給与所得者の平均年収は約433万円(男性532万円、女性293万円)。
また、厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査」では、1世帯当たりの平均所得金額は552万円(中央値は437万円)とされています。また、児童のいる世帯の平均児童数は1.68人。
そんな結果を踏まえて、今回は「年収500万円世帯」の教育費事情について、文部科学省の統計をもとに見ていきます。
「年収500万円世帯」年間の教育費はどのくらい?(文科省データより)
まず、子ども1人にかかる教育費はどのくらいになりそうでしょうか。
文部科学省の「平成30年度(2018年度) 子供の学習費調査」では、保護者の年収ゾーンごとの「1年間の学習費総額(学校教育費、学校給食費及び学校外活動費の合計)」が公表されています。
同調査結果の概要(表10-1)より、「年収400万~599万円」世帯の学習費総額の平均を抜粋していきます。
幼稚園
公立:21万4000円
私立:45万6000円小学校
公立:25万8000円
私立:120万6000円中学校
公立:43万5000円
私立:130万円高等学校(全日制)
公立…40万6000円
私立…82万1000円
公立と私立の差は、幼稚園から高校を通じて常に2倍以上です。お子さんが2人きょうだいであれば教育費も2人分に。
「年収1000万円世帯」年間の教育費はどのくらい?
では、先ほどの結果と比較する形で、「年収1000万円」世帯についても見ていきます。同調査では「年収1000万~1199万円世帯」に当てはまります。
幼稚園
公立:25万7000円
私立:60万7000円小学校
公立…46万円
私立…153万7000円中学校
公立…62万4000円
私立…142万5000円高等学校
公立…58万9000円
私立…106万円
いずれの学齢期においても、その学習費総額は「年収400万~599万円」の世帯を大きく上回る結果となりました。やはり年収が多いほど、子どもに多くのお金をかけている世帯が多い、といえそうです。
「子どもの教育費」と「自分の老後資金」どちらを優先する?
多くの家庭では、子育てがひと段落した後に老後生活が控えています。そのため、日ごろから教育費を捻出しつつ、自分自身の老後資金も用意しておかなければなりません。
では、子育て中の親世代にとって、「子どもの教育費」はどのような位置づけにあるのでしょうか。
ソニー生命保険株式会社が実施した「子どもの教育資金に関する調査 2021」では、6割強の親が
「子どもの学力や学歴は教育費次第と感じる」
「老後の備えより子どもの教育費にお金を回したい」
と答えています。その一方で、6割半からは
「子どもの教育費の負担を重いと感じる」
という回答も。いずれの回答も、子どもを思う親世代の偽らざる本音なのかもしれません。
雑感
子どもが「置かれた環境」から受ける影響はやはり大きいものがあります。
親が「高校までは公立で」というつもりでいても、周りのクラスメイトに中学受験組が多ければ、それに影響されて自分も私立に行きたい、というお子さんもあるでしょう。
その反対もしかり。親は私立中学を受験させたいが、子どもは周りの仲間と一緒に地元の公立中学に進みたい、というケースもあります。
就園・就学前のお子さんがいらっしゃり、これから住まいを選ぶ、というご家庭も多いでしょう。
学区の公立校の校風を、我が子の性格や親の教育方針に合っていそうか、私立受験率は高そうか?といった観点から見ていき、「逆算して」住まいを選んでいくという発想を持つのもアリかもしれません。
※ちなみに、筆者の子どもが通った公立校は落ち着いた校風が地域でも評判高い学校だったため、「私立中学を受験させる代わりに、学区外から越境通学先として選んだ」という親御さんが各学年に一定数いました。
教育費は「課金ゲームとは違う」
人生の三大資金と呼ばれる「住宅資金・教育資金・老後資金」。この中で、最も「ケチりたくない派」が多い項目、それが子どもの教育資金ではないでしょうか。
子どもの教育費は「課金しただけ成果が見える」といった単純なものではありません。そもそも「子育てで元を取ろうる」という発想自体がナンセンス。だから教育費って膨れ上がりがちになるのかもしれませんね。
とはいえ、多くの世帯では、住宅ローンの返済と同時並行で教育費の捻出をしています。これらのコアな出費から解放されるころには、親自身の老後の暮らしも意識していく必要が出てくるわけです。
家族のライフスタイルに合った資金計画を立てておくことは当然ですが、収入・貯蓄を増やすというのも限度があります。また、勤め先の倒産や病気といった不可抗力で当初の計画が狂うこともあるでしょう。
お持ちの資産を預貯金・保険・資産運用などにいい塩梅で配分し、資産形成と保障のバランスをとりながら家族の安心に備えていきたいですね。
