新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が9月30日に解除されましたが、第6波への懸念もあり、まだいつ収束するのか先は見えません。一時話題となった「コロナ離婚」ですが、厚生労働省によると2020年の離婚件数は19万3251組で、前年の20万8496組より1万5245組減少しています。
9月29日には国税庁より、民間企業の平均給与が2年連続で減少の約433万円と発表されました。平均賞与は、リーマンショック後以来の大幅減少である約65万円に。こうした経済への影響が、離婚を控える一因とも考えられます。
特に女性が離婚を考える場合、まず考えることは「お金について」でしょう。小さな子を抱えていると働くことも難しく、生活費はどう捻出するか、仕事と育児をどう両立するか、教育費はどうするかなど、考えるべきことは多岐にわたります。
お金に対する不安の一つとして、漠然としているという点があります。収入や支出、受けられる支援などをひとつひとつ「見える化」していくと、不安も減り、具体的な行動にうつることができるでしょう。今回は離婚前に知って起きたい「離婚にまつわるお金の見える化」の方法と具体的な制度をご紹介します。
生活費は、収入と支出の「見える化」を
まずは足元の「生活費」を見える化しましょう。現在ひと月いくらで生活しているか、光熱費や食費などの「支出」を項目別に書き出し、一ヶ月何万円あれば生活できるかを明確にします。
支出の中でも、多くを占めるのが家賃です。離婚の際に悩まれるのも住む場所でしょう。収入がある方なら賃貸を借りることもできますし、実家に帰るのも一つ。離婚後であれば公営住宅への申し込みもできます(離婚前でもDV被害者は裁判所等の証明で申し込める場合があります)。
住んでいる地域によっては、ひとり親の家賃の一部を助成したり、ひとり親世帯向けの入居をサポートしているところもあります。一度に住む場所を決めるのではなく、一時的に実家に戻り、子どもの入学や就職とともに引っ越しをするなど段階的に考えても良いでしょう。
次に「収入」です。収入については、「離婚前・離婚後」に分けて考えていきましょう。
子どもが小さい間は専業主婦や扶養内パートの方が多いですよね。収入の中でも、まずは児童手当など、受給できる制度をまとめて計算しましょう。基本的には「児童手当」と離婚後には「児童扶養手当」が所得制限内であれば受給できます。児童手当の詳細は、以下の通り。
児童手当
【月額】
- 3歳未満は一律月1万5000円、
- 3歳以上小学校就学前までは月1万円(第3子以降月1万5000円)
- 中学生は一律月1万円
- ※所得が一定以上の方は特例給付の5000円。2022年10月より、年収1200万円以上ならゼロ。
【支給日】
毎年6月、10月、2月
児童手当は夫の口座で受給することが多いため、別居中の妻は貰えないケースもあります。ただし離婚前であっても、「離婚協議申し入れにかかる内容証明郵便の謄本、調停期日呼出状の写し、家庭裁判所における事件係属証明書、調定不成立証明書」などがあれば、児童手当の認定請求を行うことで、子どもと同じ住所の方が児童手当を受給できます。詳しくは自治体に問い合わせましょう。
次に、原則離婚後に受給できる児童扶養手当です(離婚前でもDV被害者は裁判所等の証明で申し込めます)。
児童扶養手当
【月額(令和3年4月~)】
- 全部支給4万3160円、一部支給4万3150円~1万180円
- 2人目加算:全部支給1万190円、一部支給1万180円~5100円
- 3人目以降1人につき:全部支給6110円、一部支給6100~3060円
【支給対象者】
18歳に達した3月31日までの児童(障害者は20歳未満)を監護する母、監護し生計を同じくする父または養育する者(祖父母)
【所得制限限度額(収入ベース)】
全部支給(2人世帯)160万円、一部支給(2人世帯)365万円 ※前年の所得に基づき算出
【支給日】
1、3、5、7、9、11月
これ以外についても、費用を確認していきましょう。