みんながうすうす気づいている問題の核心は?
雇用形態は業種や企業規模でさまざまです。現在の典型的な大企業のケースをみてみます。55歳で役職定年(「部長」などの肩書きが外れる)、60歳で一応定年、それ以降65歳まで雇用延長ないし再雇用といったキャリアパスが用意されています。
2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法では、企業に65歳までの雇用確保を義務づけるとともに、65歳から70歳までの就業機会を確保することを努力義務としています。
将来的には「70歳定年制」の時代がやってくるかもしれません。問題は、これに持続可能性があるかということです。
65歳まで同じ会社に留まって、モチベーションを高く保つことは容易ではないですし、さらに70歳となると、そんなことは可能でしょうか。そして、そのような制度を押しつけられた企業が果たしてやっていけるのか。
日本は海外と比較し勤続年数が長い傾向がありますし、給与体系も年功序列がまだ残っています。60歳以降の再雇用で給与がガクンと下がるといっても、それが若い人たちの職を奪っているという面もあります。
端的に言ってしまえば、世界と同じように、もっと雇用流動化した社会にしないとムリな気もします。これは雇用体系の問題だけではなく、社会保障や、新卒一括採用廃止にともなう大学教育の見直しなども含めてです。
そして、実はこのことに多くの人たちが、うすうす気づいているのかもしれません。それが45歳定年制がこれだけ波紋を投げかけた背景とも思えるのです。
参考資料
支給開始年齢について(厚生労働省)
榎本 洋