要注意ポイント③「ゆとりの部分」の出費が含まれていない
ここまで見てきた結果、この「26万3718円」という実支出額は、あくまでも必要最低限の生活にかかるお金であることが分かります。
仕事をバリバリとする現役時代にはなかった「自由な時間」が確保される定年後の生活。
趣味や旅行など、できればお金に糸目をつけずに生活したい、と誰しもが考えるのではないでしょうか。また世帯状況によっては、新たなライフイベント(お子様の結婚、孫の誕生)が退職後にやってくるという方もいらっしゃるでしょう。
「ゆとり部分」の出費も踏まえた資金準備も必要であると言えそうです。
老後の赤字を防ぐために「今から」できること
安泰な老後生活を過ごすための「必要資金」はひとそれぞれでしょう。まずは自分が「老後どれだけの資金が必要となるのか」を計算してみることをお勧めします。
難しく考える必要はありません。必要となる金額がざっくりとでもわかれば、将来受け取れる年金額を差し引き、足りないものを「今から」準備するのです。
とはいえ、超低金利時代と言われるいま、銀行などの預貯金でお金を増やしていくことは難しいといえるでしょう。だからこそ、お金に働いてもらうという発想、つまり「資産運用」に目を向ける好機であるともいえそうです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)など、自分で年金をつくる国の制度の活用を考えてみるのもよいかもしれません。
資産運用のポイントのひとつとして、「運用期間をできるだけ長くとること」が挙げられます。時間を味方にすることで、リスクが軽減され、リターンが安定してきます。
ステイホームが叫ばれる今、マネープランの見直しや、金融商品のチョイスにゆっくり時間がとれる方もいらっしゃるでしょう。自分に合った「お金の増やし方」を見つけるきっかけを、ぜひつかんでいきたいものですね。
参考資料
- 厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」
- 金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)厚生労働省提出資料「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」
- 厚生労働省HP 図表1-2-6「平均寿命と健康寿命の推移」
- 宮野茉莉子(LIMO)「厚生年金『ひと月25万円以上』はどれくらい?老後資金は足りるか」
吉田 奈都子