「夫婦の働き方」が変える、老後の年金
話はやや飛びますが、専業主婦(主夫)が、これから年金を増やす手段の一つとして「厚生年金に加入できる働き方を選ぶ」のも、検討の余地があるかもしれません。
夫婦の働き方は、目の前の家計や貯蓄だけではなく、遠い将来の年金収入を大きく左右する要素ともいえます。
2022年10月からは、厚生年金に加入するパートタイマーの条件が拡大されます。老後に受け取れる年金額を増やしたい場合は、頭の片隅に入れておいくとよさそうですね。
ここで、夫婦の現役時代の働き方が、どのくらい年金額を左右するのか、ざっくりと計算した例を見てみましょう。
厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の年金月額の平均は、男性5万8866円、女性5万3699円。厚生年金保険(第1号)の年金月額の平均は、男性16万4770円・女性10万3159円です。
夫婦それぞれが、この平均額を受け取ったと仮定して、4つの組み合わせごとの年金額を比べてみましょう。
夫婦の年金加入「4つのパターン」
◆パターン1「夫婦ともに厚生年金」を受給◆
- 夫婦合算:26万7929円(夫16万4770円+妻10万3159円)
◆パターン2「夫は厚生年金・妻は国民年金」を受給◆
- 夫婦合算:21万8469円(夫16万4770円+妻5万3699円)
◆パターン3「夫は国民年金・妻は厚生年金」を受給◆
- 夫婦合算:16万2025円(夫5万8866円+妻10万3159円)
◆パターン4「夫婦ともに国民年金」を受給◆
- 夫婦合算:11万2565円(夫5万8866円+妻5万3699円)
上記は平均額を単純計算したものなので、「あくまでも参考程度」にはなりますが、4パターンの合算額を比較すると、夫婦の働き方(加入する年金)により、老後の年金受給額に大きな差がでることが分かります。
厚生年金に加入すれば、老後の年金受給額は増えます。ただし、年金保険料は給与天引きされますので、手取りは減ります。また、稼げば収入は上がりますが、当然、税負担も増えます。
メリット・デメリットを踏まえながら「我が家のワークスタイル」を見つけていく必要がありそうです。
家族と自分の将来のために
今は専業主婦(主夫)でも、以前はサラリーマンとして厚生年金に加入していた人も多いでしょう。この場合、老齢厚生年金を上乗せで受けとることができても、その金額は低いことが想定されます。
世帯の年金収入と貯蓄でカバーできれば問題ないとはいえ、リタイヤ生活が何年続くのか、さらにいうと健康で長寿を全うできるのかは誰にも予想がつかないことです。
預貯金や資産運用による老後資金の準備に加え、「年金を増やす」ことも視野に入れてもよいかもしれません。
「年金保険料を多く納付すれば、老後の受取り額も増える」これが基本。家族の状況に合わせた夫婦の働き方・役割分担を探していきたいですね。