なぜ「老後2000万円」なの?~リタイヤ世帯の暮らしを考える~

ここで、「なぜ老後は2000万円不足するのか」を検証していきます。そこで、この「2000万円」という金額が、どのような試算に基づいて導き出された金額なのかを見てみます。

金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)厚生労働省提出資料)にある、「老後2000万円問題」の計算式は、以下のイメージでつかむことができます。

リタイヤ世帯・ひと月の収支

(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)

このオレンジ枠の中の計算式が、夫婦の老後には、公的年金以外に2000万円が必要となる、という根拠なのです。

しかし、この資料中の試算には、3つの気になる点があります。

  1. 実支出が26万3718円である
  2. 住居費が1万3656円で計算されている
  3. 介護費が含まれていない

40代・50代のみなさんは「今現在」毎月の実支出はいくらでしょう?住まいは持ち家派?それとも賃貸派?
「人生100年時代」を見据えた、ご自身の介護費用はどうしますか?

備えるべき金額は、全員同じではありません。価値観やライフスタイルによっても必要金額は変わります。公益財団法人生命保険文化センターの意識調査によると、「ゆとりある老後生活」を送りたいと考えた場合、月々の生活費が36万1000円必要とされています。

人によって生活スタイルや価値観は異なるため、ご自身がいくら準備しなくてはいけないかは十人十色なのです。いずれにしても、老後の年金生活が始まる前に何かしら対策が必要でしょう。