つみたてNISA「あなたの目的は?」

つみたてNISAによる資産形成の目的が何かによって、出口戦略は変わってきます。代表的な二つ、教育資金と老後資金についてみてみましょう。

◆教育資金として使う◆

子どもの大学進学費用を、つみたてNISAで準備しようとする場合、何年後にいくら必要になるかはある程度わかると思います。気がかりなのはその時の相場です。上がっていれば何の問題もありませんが、下がっていた場合はどうしたらいいでしょうか。

投資の手法として時間分散があります。これは「ドルコスト平均法」に代表されるように、購入のタイミングを分散することで平均単価を下げることができる手法です。売却も同じです。複数回に分けて売却することで、安値売りを避けることができます。

そのため、資金が必要になる2,3年前から相場に注目し、なるべく高値で売却できる時期を探って数回に分けて売却するとよいでしょう。

◆老後資金として使う◆

老後資金をつみたてNISAで準備する人は多いと思いますが、非課税投資枠は最大で800万円なので、老後資金には足りないという場合があるでしょう。よって、他の方法も使って、二本柱、三本柱で老後資金を準備するのが理想的です。

基本は必要な額だけ取り崩して、残りはそのまま運用を続けるとまだまだ増やすことができます。年金だけでは足りない分を、毎年取り崩していく方法です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)でも老後資金を作っている場合は、先にiDeCoで受け取りを始め、つみたてNISAには手を付けず運用を続けるとよいかもしれません。iDeCoは一時金受け取りの場合は70歳まで(※1)に、年金の場合は最長20年間で受け取るルールとなっていますが、つみたてNISAには期間の制限がないからです。また、iDeCoは投資期間中ずっと口座管理手数料がかかるのに対して、つみたてNISAはかからないのも理由の一つです。

ただし、運用状況によっては、その限りではありません。つみたてNISAで大きく利益が出ていた場合は売却して利益を確保する、逆に下がっていたら売却せずに回復を待つなど、状況をみて判断することも大切です。

つみたてNISAはいつでも、いくらでも売却することができるので、タイミングの判断に自信がなければ、少しずつ売却するのがよいでしょう。

※1 令和2年の年金制度改正によって、上限年齢が75歳へと引き上げられることになりました(令和4年4月実施)

参考資料

石倉 博子