「老後2000万円」は本当に必要なのか。

さきほども触れた「老後2000万円問題」。要点をかいつまむと「夫婦の老後の生活費には公的年金以外に2000万円が必要」という内容で世間の注目を集めました。

ここでにわかにクローズアップされた「2000万円」は、モデルケースの高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上妻60歳以上)のひと月の収支を元に試算されたものです。また、ここでいう「年金収入」はさきほどご紹介したモデル年金月額」です。

このオレンジ枠の計算式から、「2000万円」という結果が導き出されたわけです。さきほど紹介した50代世帯の年金予想額も月額20万円台。よって、老後資金として最低約2000万円程度は必要だろう、と考えることは妥当でしょう。

ただしこの「2000万円」の計算にはいくつかの落とし穴があります。

「老後2000万円」の盲点

  • 介護に必要なお金がまったく含まれていない
  • 住居費が持家世帯を前提として約1万4000円と設定されている
  • 生活を楽しむための「ゆとりの出費」が含まれていない

老人ホームに入居を考えている場合や、バリアフリー改修を予定している場合などはその分を貯蓄しておく必要があります。また、老後も賃貸住宅に住まう予定の世帯であれば、家賃分を考慮した資金準備が必要となるでしょう。

また、家族や友人との旅行、ライフワークや趣味のためのお金、かわいいお孫さんへのおこづかい…といった、いわゆる生活に潤いを与える活動のための出費も、できればケチりたくないですよね。

つまりは、この「2000万円」は、あくまでも「老後の最低限の生活費」と考え、ライフスタイルや家族構成、さらには健康状態なども考慮しながら資金計画を立てていく必要がありそうです。