「おひとりさま」という言葉が新語・流行語大賞にノミネートされたのは2005年。今では普段の会話にすっかり定着し、晩婚化・非婚化が進む中で独身者にこの言葉を使うことが多くなっている感があります。
厚生労働省が国立社会保障・人口問題研究所のデータをまとめた資料によると、50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合(生涯未婚率)は1985年には男性3.9%、女性4.3%でしたが、2015年には男性23.4%、女性14.1%と、男性はこの30年で約6倍になっています。さらに、2040年には男性は3割近く、女性は2割弱まで増えると推計されています。
では、おひとりさまと呼ばれる単身の世帯と2人以上の世帯のお金事情はどのくらい違うのでしょうか。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和2年」で、単身世帯の収入や貯蓄額の実態を、年代別や2人以上世帯との比較で見てみましょう。
なお、単身世帯調査の対象は全国の20歳以上70歳未満で単身で世帯を構成する者、回答世帯は全国2500世帯。2人以上世帯調査の対象は、全国の世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯、回答世帯は2052世帯です。
単身世帯の年間手取り収入は200万円台!?
まずは収入です。単身世帯の年間手取り収入の平均は全体で260万円、中央値は239万円。金額分布を見ると5割強が300万円未満、500万円未満で約9割を占めています(図表1参照)。
これが2人以上世帯だと、年間手取り収入は全体で平均541万円、中央値450万円。平均額では単身世帯の2倍以上になっています。
単身世帯の年代別では、20歳代は社会人になって間もないこともあり300万円未満が6割近くを占めています。平均値は20歳代で217万円、30歳代298万円、40歳代310万円と、年齢とともに上昇。40歳以降では、手取り収入500万円以上の世帯が2割近くになっています。
中央値で見ると、20歳台200万円、30歳代300万円、40歳代250万円、50歳代220万円、60歳代200万円と、40歳代以降は年齢が上がるにつれて中央値は低くなっており、収入格差が垣間見える結果になっています。