60代というと定年退職を迎え、年金生活をスタートされる人が多い年代になります。いわゆる、老後の入り口に入るわけですね。
一方で、「老後破産」「老後2000万円不足」などネガティブなニュースを見聞きして、この先のお金のやりくりについて不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで、本日はFPの資格を持ちながらファイナンシャルアドバイザーをしている私から、60歳以上のお金事情、とりわけ無職世帯の貯蓄の推移についてフォーカスしつつ、老後資金の準備についてもお話ししてまいります。
そもそも「貯蓄」とは？
総務省の家計調査報告（貯蓄・負債編）の「用語の解説」によると、貯蓄の定義は下記の通り。
「ゆうちょ銀行，郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構，銀行及びその他の金融機関（普通銀行等）への預貯金，生命保険及び積立型損害保険の掛金（加入してからの掛金の払込総額）並びに株式，債券，投資信託，金銭信託等の有価証券（株式及び投資信託については調査時点の時価，債券及び貸付信託・金銭信託については額面）といった金融機関への貯蓄と，社内預金，勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。」
つまり、「貯蓄額」には、預貯金以外の金融資産も含みます。次では、60歳以上・無職世帯の金融資産の内訳を、「預貯金額」と「預貯金以外」に分けて確認していきます。
60歳以降・無職世帯の貯蓄事情
さいしょに、60歳以上・無職世帯の「預貯金額」からみていきましょう。
総務省「家計調査報告（貯蓄・負債編）－2020年（令和２年）平均結果－（二人以上の世帯）」第8-10表より、「無職世帯のうち世帯主年齢60歳以上」世帯の平均額を抜粋していきます。
※なお、四捨五入の関係で、内訳の計と合計が一致しない場合があります。
60歳以上・無職世帯「預貯金の内訳」
60歳以上・無職世帯の預貯金額平均：1543万円
■内訳■
通貨性預貯金：631万円
- 普通銀行等：487万円
- 郵便貯金銀行：144万円
定期性預貯金：912万円
- 普通銀行等：676万円
- 郵便貯金銀行：235万円
いわゆる「普通預金」より「定期預金」に預けている金額が多い状況です。
