電気自動車が普及するために必要なものとは

先ほども示した通り、優遇措置があっても「補助金の仕組みが複雑でわかりにくい」「補助金を適用しても高価」という2点が依然として課題ではあるものの、最大の課題は「充電設備」であると思われます。

充電設備は最も所要時間が短い「急速充電(※電気自動車専用の高速充電設備の一般名称)」でも航続距離80kmに到達するためには15分の充電時間が必要です。100Vのコンセント経由の場合は「8時間」もの時間を必要とします。

ガソリン車を使ってガソリンスタンドで給油する場合であれば、30分もあれば満タンにできるでしょう。

そして、日本にある充電設備の数もガソリンスタンド(給油所)の設備数と比べると物足りない状態です。

  • 電気自動車の充電設備:1万9287か所
  • 給油所(SS)数: 2万9005給油所

充電設備はガソリンスタンドと比べると、1万か所ほど少なくなっています。また、東京都(879箇所)・神奈川県(1040か所)・埼玉県(788か所)・千葉県(822か所)の1都3県および、愛知県(1210か所)に集中しています。(2021年8月28日時点)

乗用車は都市部よりも地方において需要が高いので、「充電がしづらい」というのは導入の足かせになると考えられます。更に、充電設備はいくつかの規格に分かれており、ガソリンスタンドのように「見つければ何とかなる」わけではありません。

そして、都市部であっても導入ハードルは残されています。電気自動車の場合、充電にかかる時間が数時間以上になることから、「自宅での充電」が運用のためには必要なのですが、マンション・アパートなどの賃貸暮らしの場合は自宅での充電が難しく、導入をあきらめざるを得ないケースもあると考えられます。

「欲しくても、現状の生活では運用できない」ケースをいかに解消していくかが、電気自動車の普及のためには必要です。

参考資料

當瀬 ななみ