私は、証券会社で約20年、個人向けのファイナンシャルアドバイスをしていた経験があります。
当時のお客様の中には70代の方も多かったのですが、非常にはつらつと元気にセカンドライフを楽しまれていました。
「人生100年時代」が現実的になったいま、これを見据えた人生設計の大切さを、私自身が実感するきっかけにもなりました。
そこで今回は、そんな70代以上世帯の貯蓄状況に着目しつつ、証券会社でファイナンシャルアドバイザーとしてお客様の資産運用に携わってきた経験を踏まえて、人生100年時代の老後準備についてお伝えしていきたいと思います。
70代以降の貯蓄はいくら?
さいしょに、70代以降の貯蓄額がどれくらいあるのかを確認していきましょう。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」によると、70歳以上世帯の貯蓄額は以下のようになります。
70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均:1786万円
- 中央値:1000万円
中央値は貯蓄額が少ない順、あるいは多い順に並べたときに全体の真ん中にくる人の金額をいいます。それに対し、平均値は、一部の極端に貯蓄が多い人の数値に引っ張られるため数値が大きくなりやすい特徴があります。
よって、ここでは平均より中央値の方を参考にしていただくとよいかもしれませんね。
中央値は1000万円という金額から、70代の方々が老後に向けて堅実にお金を貯めてこられたことがわかります。
70歳以上の貯蓄分布から見えること
つぎに同調査から、70歳以上・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)の分布を見ていきましょう。
70歳以上・二人以上世帯「金融資産保有額」の分布(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:18.6%
- 100万円未満:4.3%
- 100~200万円未満:4.1%
- 200~300万円未満:2.6%
- 300~400万円未満:3.0%
- 400~500万円未満:2.6%
- 500~700万円未満:6.5%
- 700~1000万円未満:6.3%
- 1000~1500万円未満:11.9%
- 1500~2000万円未満:8.0%
- 2000~3000万円未満:10.4%
- 3000万円以上:19.0%
- 無回答:2.6%
分布の結果からも、70歳以上・二人以上世帯の約50%が、貯蓄1000万円以上を保有していることが分かります。
気になるところは約2割が「金融資産を持っていない」、つまり貯蓄ゼロであることが分かります。その一方で、3000万円以上の金融資産を保有する世帯も約2割存在します。
世帯によってかなりの貯蓄格差がある点は、看過できないといえるでしょう。
現役世代の私たちとしては、貯蓄がまったくない、極端に少なく、老後に困ることはできるだけ避けたいものです。
そのために、今からできることを考えましょう。