「死後離婚」という言葉を知っていますか?

やや物騒な響きですが、正式には「姻族関係終了届」といいます。

配偶者に先立たれたあと、相手の家族(姻族)との法的かかわりを解消する戸籍上の手続きです。

この「姻族関係終了届」の件数は2009年には1900件前後でしたが、この10年近くで増える傾向にあり、2017年度のピーク時には、4800件を超えました。

家族や夫婦のかたちが多様化するいま、パートナーに先立たれたあとの「終活」の一つとして注目されるかもしれないこの制度について考えていきます。

死後離婚=「姻族関係終了届」って?

夫婦のどちらかが亡くなると、その婚姻関係は終わります。その一方で、亡くなった配偶者の血族(=義家族)との姻族関係は、手続きをしない限り続きます。

※ここでいう姻族には配偶者の実父母や兄弟などが含まれ、民法上では3親等以内の姻族を「親族」とみなします。

配偶者が亡くなった後、こうした姻族との関係を終わらせたい場合、自分の本籍地、もしくは所在地の市区町村役所に提出するのが、この「姻族関係終了届」です。

みんなが「死後離婚」を選ぶ理由とは?

「死後離婚」を選択する理由としてまず思い浮かぶのは、生前に離婚を思いとどまっていた・夫とは同じ墓に入りたくない、といったことも、もちろんあるでしょう。

それ以上に「義実家との折り合いが悪い」「長男の嫁だからという理由で義両親の介護を背負いたくない」といった事情などが、「姻族関係終了届」を出す理由として挙げられそうです。

「姻族関係終了届」には提出期限はありません。届け出に姻族の同意は不要で、届け出たことが姻族に知らされることもありません。

ただし、届け出た人の戸籍には、届け出の事実が記載されます。相続の手続きなどで義家族がその戸籍を見るような場合「ばれる」可能性はあるでしょう。

ところで「死後離婚」後の年金や相続はどうなるのでしょうか。