ジョブ型雇用に対応する人材育成

次に日本の事例です。日立製作所では国内グループ企業の全社員約16万人を対象に、DX基礎教育を実施。三菱商事では2020年8月に「IT・デジタル研修」を新設。所属、年次年齢を問わず希望者が対象で、同年9月にはオンライン講座で延べ1000人が受講しています。

さて、“40代のやる気"の話に戻ります。やはり、リスキリングといった企業・行政側の動向が40代のやる気に影響を与えていることは間違いないでしょう。「人は自発的にやる気になるなんて、ほとんどない。外的要因がすべて」と個人的には思っていますし。

では、最終的に一体、どこへ向かっているのか。もちろん、そんなことは誰にも分かりませんし、単なる予想にすぎませんが、行きつく先は“ジョブ型雇用"だと考えています。

日本ではジョブ型雇用の導入に際して「ジョブディスクリプション(職務記述書)」の作成が大変だと言われていますが、これが実はオカシイと思っています。要は職務をキチンと定義していないから書けないだけではという気がします。

乱暴に言ってしまえば、DX時代のジョブディスクリプションの内容は、その7~8割は業務ごとにテンプレ的になってきて、残りを各企業が個別作成するイメージではないでしょうか。

そして、そのテンプレ的な新しい汎用性のあるスキル実現を目指して、リスキリングが進行しているという見立てを持っています。

昨年末発表された経産省のDXレポート2でも、DXを実現する環境づくりにおける重要な要素として、ジョブ型雇用とリカレント教育(生涯学習)が強調されていました。ただ、新卒一括採用という絶望的な高い壁が存在する日本において、教育と就業を繰り返すリカレント教育なんて“絵に描いた餅"にすぎないでしょう。

リスキリングによって生まれ変わるかもしれない40代。そのガンバリに注目です。

参考資料

榎本 洋