老後不安にどう備える

「老後2000万円問題」に代表されるように、老後資金は大きな社会問題となっています。

老後2000万円問題のモデル世帯は、年金を主とした月収入約26万円に対し、毎月約5.5万円の赤字期間が30年続くとした場合、約2000万円の生活資金が必要になるというものでした。

仮に、22歳に新社会人になってから60歳まで働き、その間に老後に必要な資金を貯めておくとすると、年間約52万円(月4.3万円程度)の貯金を38年間続ける必要があります。

老後2000万円問題が火付け役となりブームとなっている「つみたてNISA」や「イデコ」も、「長期間つみたてをし続ける」という大前提があります。

つまり、「つみたて投資を続けることができる=安定した収入が毎月ある」という環境が必要不可欠ともいえます。

「貯金がないから投資で増やしたい」とご相談に来られる方も多いのですが、投資をするからには増えることもあれば、元本割れをする可能性もあります。

もし、貯金がなく投資資金も元本割れをしているというときに急な出費が発生したら、損を大きくしてでも投資資金を現金化する必要が出てきます。

初めて資産運用に挑戦する方は、この「安定した収入がある環境が崩れたら」というリスクヘッジは見落としがちな落とし穴です。

「どの金融商品で運用するか」に目がいきがちになりますが、失業したり、病気や怪我でまとまった支払いが必要になったらいまの貯金額で対応できるか?その状況でつみたて投資を続けられるか?という環境整備にも目を向けることが結果的に安定した資産運用への近道といえます。

何から始めていいかわからないという方は、マネーセミナーに参加したり、専門家に相談してみることも検討してみましょう。

参考資料

尾崎 絵実