2021年7月1日に、渋谷区とSmartNews(スマートニュース)社が連携して、5000名規模の職域接種実施を発表しました。この際、同社の社員数が職域接種の規模の1割未満であったこと、CEOのSNSでの「炊き出しの精神」発言も相まって、同社は批判を受けることとなりました。では、この批判を受けた「社員数よりも多くの枠を確保して職域接種を実施する」行為は適法なのでしょうか。厚生労働省の発表も踏まえて検証します。

「社員数より多い枠の職域接種」は前例がある

実は「社員数よりも多くの枠を確保して職域接種を実施した」ケースは、大手企業に限っても複数社存在します。

代表的なところは6月15日に職域接種実施を公表したソフトバンクグループとトヨタ自動車です。

2社の接種対象と対象者数についてまとめました。

<ソフトバンクグループ…単体241人・連結58,786人>

接種対象:グループ従業員や同居家族・ソフトバンクホークスファンクラブ会員・近隣住民
対象者数:計25万人
(グループ従業員などを対象とした職域接種で15万人・近隣住民の方々少なくとも10万人)

<トヨタ自動車…単体74,132人・連結359,542人>

接種対象:国内で勤務する従業員・出向者および、一部の派遣社員・業務委託社員・近隣取引先の従業員
対象者数:約8万人

ソフトバンクグループは明らかに従業員数よりも大規模な職域接種を実施し、ファンクラブ会員をも対象としていますが、この点については特に批判されていません。

トヨタ自動車については、ワクチン誤接種(モデルナ製ワクチンを18歳未満に接種した)が問題にはなりましたが、職域接種の発表自体には特段批判はありませんでした。