60代世帯・貯金2000万円超「でも」安心できないワケ

2019年、金融庁のレポートに端を発した「老後2000万円問題」をきっかけに、年金生活スタートまでの貯蓄目標額として「2000万円」を設定された方もいらっしゃるかと思います。

働き盛りの現役世代にとって、この「2000万円」という金額は一朝一夕で準備できる金額とは言いがたいでしょう。

では、定年退職や年金受給開始を迎える方の多い60代のみなさんにとっては、この「2000万円」はどの程度の位置づけといえそうでしょうか。

今回は、60代世帯の貯蓄事情を俯瞰していきます。また、「老後2000万円」の根拠にも触れながら、セカンドライフのお金についても考えていきます。

60代の貯金事情。みんな「2000万円」貯めているのか？

さいしょに、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査［二人以上世論調査］（令和2年）」から、60代・二人以上世帯の貯蓄事情を見ていきます。

金融資産保有世帯のみ

金融資産を「保有していない世帯」を含む

このデータを見る限りでは、「60代のほとんどが2000万円以上貯めている」とはいえないようです。

【平均値と中央値】

平均値は一部の極端な値（今回でいうと「金額が多い層」）に引き上げられる傾向があります。反対に中央値は、貯蓄額が少ない順、あるいは大きい順に並べた時「全体の真ん中」にくる人の金額で、他の数値に左右されません。よって、中央値の方がより実態を反映しているといってよいでしょう。

では、老後の序盤ともいえる60代の時点で、この「貯蓄2000万円」のラインをクリアしている世帯の割合はどのくらいでしょうか。次で詳しく見ていきましょう。