ちなみに、生命保険文化センターが公表する「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、ゆとりのある老後生活を送る場合、毎月平均36万1000円の生活費が必要となります。
前述のモデルケース世帯で、収支を実際に計算してみると…
収入:20万9198円
支出:36万1000円
毎月の収支:マイナス15万1802円
この場合、毎月約15万2000円の赤字となります。こちらも老後が30年続くと仮定すると、
15万2000円×12カ月×30年=5472万円(≒5500万円)
「ゆとりある生活」を目指す場合、2000万円どころか、なんと約5500万円のお金が必要となります。
定年前50代、貯金はいくらあるのが普通か
ここからが本題です。
はたして、定年前の50代世帯は、さきほどの「2000万円」を準備はできているでしょうか。今回は総務省統計局「家計調査報告」より、定年前50代の貯蓄と負債の内訳を見ていきましょう。
50~59歳の「貯蓄・負債」
- 預貯金:1011万円(うち定期性預貯金489万円)
- 生命保険など:398万円
- 有価証券:221万円
- 金融機関外:73万円
貯蓄合計:1703万円
- 住宅・土地のための負債:620万円
- 住宅・土地以外の負債:46万円
- 月賦・年賦:33万円
負債合計:699万円
50代の貯蓄合計の平均は約1703万円。さらに貯蓄から負債を差し引いた「純貯蓄」は1004万円、約1000万円ですね。
では、2000万円までの不足額である1000万円を預貯金で積み立てていくと、毎月いくら必要になるでしょうか。利息がまったく付かない前提で、55歳の方の場合を想定してみます。
1000万円÷5年÷12カ月=16万6666円(≒17万円)
毎月約17万円貯めないといけませんね。ほとんどの方が難しいと感じるのではないのでしょうか。現在は銀行などの普通預金金利がほとんど付きませんので、利息でお金を増やすことは期待できません。
では、「50代からの資産づくり」を効率的に進めるためにはどうしたらよいのでしょうか。次で具体的に考えていきます。