「下流老人」という言葉が2015年に生まれてから、はや数年が経ちました。

厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、今に至るまで高齢世帯の貧困は進んでおり、2019年時点で約52%が「生活が苦しい」状況です。さらに、年金受給世帯のうち「収入は公的年金のみ」の48.4%を含め、「収入の6割以上を年金に頼っている」という世帯は全体の約75%にのぼります。

「年金を払いたくない」という声が大きくなっても、やはり老後の頼りの大部分は公的年金だといえるのかもしれません。

今回は、フィナンシャルプランナーとして1000世帯以上のお客様のフィナンシャル・プランニングに携わってきた経験をもとに、「低年金・無年金予備軍が今からできること」というテーマでお話ししていきます。

無年金=セーフティネットなしで老後を迎えると?

日本の公的年金は、20歳以上の日本に居住地がある人全員が加入する国民皆年金制度です。

加入対象者は現役期間中に年金保険料を支払うことで、老後の収入源となる年金を受取ることができますが、年金の受取には満たさなければならない受給要件があります。

保険料が未納などによりこの受給要件に満たない場合は「無年金」となるのです。

そうなると、老後に入っても働き続けるか、自分の資産だけで生活していかなくてはいけません。

特別な贅沢はしなくとも、「住居費・食費・光熱費・通信費・医療費・交通費」など、生きるだけで何かとお金がかかると感じている方も多いのではないでしょうか。

仮に、月25万の生活費が老後も30年間かかるとすると、9000万円ものお金が必要になります。現役時代に黙々と貯金をするにしても、なかなか途方に暮れる金額です。

年金だけで生活するのは難しい時代になってきましたが、現役時代ほど体の自由が効かなくなる老後において、公的年金は「収入ゼロ」を防ぐセーフティネットでもあります。

「無年金にならない」ことは、人生100年時代を生き抜く最低条件と言えるでしょう。