老後2000万円問題が以前に騒がれましたが、これは公的年金だけで生活していくのは厳しいというあらわれでしょう。

「月に30万円年金がもらえれば、ゆとりある生活が送れる」と考えたことはありませんか?

月30万円の年金をもらうためには、多くの保険料を払わなければなりません。給料がいくらであれば可能なのか、夫婦世帯の場合、単身世帯の場合で検証してみたいと思います。

月30万円年金をもらっている世帯はどのくらい?

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報(令和元年度末)」によると、公的年金の月額平均は、厚生年金保険(第1号)が14万6000円、国民年金が5万6000円となっています。

この平均値を参考にすれば、夫婦二人が厚生年金をもらっていれば、合わせて29万2000円となり、月30万円に近くなります。夫(妻)が厚生年金保険で妻(夫)が国民年金であれば、20万2000円、二人とも国民年金であれば、11万2000円となります。

実際に月30万円をもらっている世帯の割合を見てみましょう。

さいしょに、「配偶者あり世帯」の公的年金の受給状況をまとめた【表1】をごらんください。

出典:厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)平成29年」(「調査結果の概要」表21)をもとに筆者作成

月30万円は年間では360万円になるので、この表の300~400 万円に当てはまります。割合は一番多い33.8%となっています。平均額は264万5000円です。

意外にも月30万円もらっている世帯は多いということがわかりました。これは夫婦2人合わせた年金額なので、2人とも厚生年金に加入していれば、先ほどの厚生年金の平均額を見てもわかるように、決して無理な金額ではないということでしょう。

次に【表2】で、単身世帯も見てみましょう。

出典:厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)平成29年」(「調査結果の概要」表32)をもとに筆者作成

単身世帯では、割合が一番多いのは50~100万円の23.4%、次に150~200 万円の22.4%となっています。平均額は145万4000円です。360万円(月30万円)もらっている人は0.6%に満たないということがわかります。

単身で月30万円の年金をもらっているケースは非常に稀といえます。