2021年4月から、高齢者を中心に一部自治体での新型コロナワクチン接種が始まり、5月には全国の自治体でワクチン接種が進められています。
そして、ワクチン接種予約システムに関するトラブルが全国各地で発生していることが各種メディアで報じられました。これらのトラブルは実際どれくらいの影響度があるものなのでしょうか。各種報道・公開情報をもとに分析していきます。
大規模接種センターの予約トラブルを振り返る
5月中旬に各種メディアが大きく報じた「大規模接種センター」の予約トラブルについて振り返ります。本件は5月17日にAERAdot.編集部の独自調査として、予約サイトの不具合の内容を手順と共に詳しく報じた記事が発端と考えられます。
ただし、実際に予約サイトの仕組みが桁数だけをチェックする「ゆるい」ものであったとしても、ワクチンを接種する際には、
- 市町村より郵送される「接種券」
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など)
の両方が必要になり、現地で確認する仕組みなので、最終的には整合性が取れていると考えられます。
身近な例を挙げると、飲食店のインターネット座席予約も「とりあえず枠を取るだけ取る」というユーザーを完全に排除することはできません。事前に完全に防ぐ方法にも限りがありますし、何より開発コストをかけて制限をかけるほど利用者にとって不便になるので、メリットがないからです。そのため、予約枠は先着順で取れるようにして、「時間までに現地に来たことを確認して」から有効な予約扱いにする仕組みを入れています。
そして、インターネットの利用が難しかったり、自分で出向くことが難しかったりする場合は「自治体での接種」「かかりつけ医での接種」が推奨されており、大規模接種センター以外にも選択肢があります。
インターネットが使えて、公共交通機関が使える比較的健康な人を対象に、スムーズに接種まで誘導しようとする方針まで批判されるのは行き過ぎでしょう。