この状況をふまえて、この制度をうまく活用したいのであれば、繰上返済をするのはおトクとは言えないのが、おわかりいただけるのではないかと思います。

住宅ローン控除が利用できる10年間は、あえて繰上返済をせず、住宅ローン控除の恩恵を受けられなくなったタイミングから繰上返済をできるように備えておく。このような方法も選択肢のひとつとして検討できるのではないかと筆者は考えます。

住宅ローン控除は見直しの可能性も

残念なのは、来年の税制改正で住宅ローン控除の内容を見直す方向で検討される可能性があるということです。今の低金利時代に1%の控除は合わないという指摘が、会計検査院から入ったためです。

住宅ローン控除で受けられる税金上のメリット、特にローン残高の1%が控除されるという点に関しては、来年以降、議論の対象となり、引き下げられるかもしれません。政府として「見直す」という方針が示されたということは、何らかの形で住宅ローン控除に影響は出てくることが予想されます。

この見直しは「超低金利時代」が長く続いているという背景が大いに影響しているからですが、もし住宅ローンを利用して住まいを購入する予定を立てている人がいれば、年内がよいのではないかと考えてしまいます。