「貯蓄しなかった」世帯の割合は、どのくらいか
今回「貯蓄しなかった」と答えた世帯の割合は、全世代平均で28.7%です。ここでは、世代ごとの差を見ていきます。
「手取り収入から”貯蓄しなかった”世帯の割合」 全世代の平均:28.7%
20歳代…4.8 %、30歳代…9.0 %、40歳代…17.3 %、50歳代…22.3 %、60歳代…42.2 %、70歳以上…43.4 %
年齢ゾーンが高くなるほど、「貯蓄をしなかった」世帯の割合が高くなっています。
40代、50代はお子さんの教育費や住宅ローンに追われる世帯が多い時期といえますし、60代以上であればすでに既に貯金を切り崩すフェーズに入っている世帯もあるでしょう。
ここで着目すべきは「貯蓄をしなかった」世帯の割合が、20代、30代で非常に低い(10%以下)という点、かもしれません。
20代、30代が手取りから貯蓄に回す割合はいずれも13%。この割合は40代以降右肩下がりとなり、いずれも11%以下にとどまります。
現在の20代、30代のみなさんは、バブル景気のいわゆる「いい時代」を知る先輩世代たちと比べて、「お金の不安」を肌で感じながら子供時代を過ごした方が多いでしょう。
そうした背景を、いまどきの若い世代の「お金の使い方」や「貯蓄への意識」と関連付けて考えることは、あながち間違いでもなさそうです。
ただし、今回ご紹介した数字は調査結果に基づく、あくまでも手取り収入からどれだけ貯蓄しているかの「割合」の平均です。
そもそも収入自体、世代ごと、そして家庭ごとに違いますので、単純に割合だけを比較して、「貯めている」「貯めていない」と判断することはできません。
とはいえ、貯金のペースや努力の具合は、「貯めた額」よりむしろ「限られた収入から、どの程度貯金できているか」で評価される部分もあるのではないでしょうか。
とりわけ、20代、30代でこの割合が高いという点は、頼もしいことであるといえそうです。若いうちに習慣として身に着けた、貯蓄を続ける根気強さは一生ものの財産となるでしょう。
また、長寿時代に老後を迎える私たちには、健康寿命とともに「資産の寿命」を伸ばす視点も求められそうです。お金に働いてもらう「資産運用」も視野に入れながら、ゆとりある暮らしを支える基盤を作っていきたいものですね。
マネーの専門家のアドバイスなどを活用しながら、ご自身に合った貯蓄計画、そして運用スタイルを見つけていかれることをお勧めします。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年調査結果」
- 青山諭志(LIMO)「60代は手取り収入の何%を貯蓄に回したのか」