総務省統計局が2021年5月18日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」によると、二人以上世帯の貯蓄現在高の平均値は1791万円で、前年より36万円増えています。また、負債現在高の平均値は572万円で、前年より2万円増えています。
先の見通しが立ちにくいコロナ禍。漠然とした不安がなかなか解消されにくいことは、すべての世代に共通することでしょう。とりわけシニア世代のみなさんにとって、「貯蓄」は年金生活を支える大切な柱です。
今回は、同調査の結果より、70歳以上世帯の貯蓄額を眺めていきます。
70歳以上世帯「みんなの貯蓄」平均いくら?
前述の総務省統計局の資料によると、70歳以上・二人以上世帯の貯蓄・負債の平均は以下のとおりです。
70歳以上世帯の貯蓄と負債
- 貯蓄現在高:2259万円
- 負債現在高:86万円
70歳以上の貯蓄額は、全体における平均値より468万円多い結果となりました。貯蓄から負債を差し引いた「純貯蓄額」は2173万円です。
同じように算出した60歳代世帯の純貯蓄額は2142万円。この2つの世代を単純比較することはできませんが、70歳以上のみなさんのなかには、大きく貯蓄を切り崩すことなく暮らしている世帯が一定数存在する、ということは確かであるといえそうですね。
次では、70歳以上・二人以上世帯の貯蓄のすがたを深掘りしていきます。
70歳以上世帯「老老格差の貯蓄事情」
ここまでみてきたのは、あくまでも平均額です。平均額だけでは、「どの程度の割合の人」が、「どれくらいの貯蓄」を持っているかを把握することはできません。
そこで、70歳以上の貯蓄現在高階級における世帯数(抽出率調整済実数)をまとめたグラフより、貯蓄額の分布をみていきましょう。
さきほどのグラフは、70歳以上の貯蓄現在高階級における世帯数をまとめたものです。
70歳以上の貯蓄事情は大きく二極化していることが分かります。300万円未満の世帯が15.8%いる一方、4000万円以上の世帯が16.6%存在します。
さらに「100万円未満」世帯に絞ると、70歳以上世帯の8.3%が該当することになります。
ちなみに、2019年に金融庁のレポートで話題となった「老後資金2000万円」を70歳以上で保有・維持している世帯は70歳以上世帯全体の約39.6%、さらに3000万円以上を保有している世帯にフォーカスすると70歳以上世帯全体の約25.5%となっています。