安心してセカンドライフを迎えるためには、現役時代のうちから「お金のこと」としっかり向き合い、準備を進めておく必要があります。

しかし、数十年後に訪れる「老後」のお金といわれても、具体的なイメージが湧かず、漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、実際に老後を過ごしている70代の「年金額」と「貯蓄額」に焦点を合わせて、リアルな老後のお金事情を探っていきます。

70代のお金事情を参考にしつつ、豊かな老後を迎えるための準備を少しずつ始めていきましょう。

70代の「年金額」は?

生命保険文化センターが行った調査によると、老後生活に対する不安の内容で、最も多かったのが「公的年金だけでは不十分(82.8%)」でした。

まずは多くの方が気になっている公的年金の金額について見ていきましょう。

厚生労働省の「令和元年度(2019年度) 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、70代の平均受給額は以下の通りです。

国民年金の平均年金月額

  • 70~74歳:5万6697円
  • 75~79歳:5万5922円

厚生年金の平均年金月額

  • 70~74歳:14万6421円
  • 75~79歳:15万1963円

厚生年金の年金額には、基礎年金である国民年金の額が含まれています。国民年金は保険料が一律のため、きちんと毎月支払っていれば大きな差は出ませんが、厚生年金は給料によって保険料が変わるため、個人差が大きくなります。

平均額で単純に考えると、会社員の夫と専業主婦の妻からなる夫婦世帯であれば、夫が厚生年金、妻が国民年金を受け取れるため、夫婦合算の年金額は20万円前後となりますね。

総務省の「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の消費支出は22万4390円です。

この場合年金収入では支出を補えず、毎月約2万5000円の赤字となる計算になりますね。

収入や支出は人それぞれですので一概にはいえませんが、「公的年金だけでは不十分」と多くの人が考えてしまうのも納得の結果です。

公的年金で不足する生活費は、老後までにコツコツ準備した貯蓄から補うことになります。次では、70代の貯蓄額について見ていきましょう。