立憲民主党は2021年6月3日、「子育て世帯給付金」再支給法案を衆議院に提出しました。政府が2021年3月に支給を決定した「子育て世帯生活支援特別給付金」(子育て世帯給付金)と同じ内容の給付金を9月末までに支給することが柱です。
そこで今回はこの法案について、詳しくみていきます。
低所得者世帯の支援を要望
それでは、法案の内容をみていきます。
まず、政府が3月に支給を決定した「子育て世帯生活支援特別給付金」の内容を細かくみていきましょう。
この制度は、コロナ禍が長期化する中で、低所得の子育て世帯を支援することが目的の制度です。
支給対象者は下記の通りです。
- 児童扶養手当受給者など、低所得のひとり親世帯
- 上記以外の住民税非課税の子育て世帯(その他低所得の子育て世帯)
給付額は児童一人あたり5万円で、約2175億円が予算として組まれました。
ただ、長期化するコロナ禍の影響もあり「当事者からは、給付金を再支給してもらわなければ生活を維持していくことができないとの悲鳴が上がっている」として、給付金を再度支給してほしいというのが今回の要望となっています。
コロナ禍で苦しむ人のための支援を再び求めたわけですが、これ以外にも支援策を検討しているのでしょうか。
高所得者の「特例給付」の復活を
立憲民主党は2021年5月31日にも、「子ども総合基本法」法案を衆議院に提出しています。子育てや出産の支援などを担う「子ども省」の設置や、児童手当の対象の拡大などがポイントです。
まずは、廃止の決まった児童手当の復活について、解説していきます。
そもそも、児童手当とはどんな内容かを見ていきましょう。
現行の制度では、中学校卒業までの子ども1人について毎月手当が支給されます。金額は下記の通りです。
3歳未満…1万5000円
3歳以上…小学校終了前まで1万円(第3子以降は1万5000円)
中学生…1万円
しかし親の所得によって限度額があります。たとえば会社員の夫と専業主婦の妻、子ども2人の世帯では夫の年収が960万円を超えた場合、「特例給付」として支給額は子ども1人につき一律5000円となっていました。
この一律5000円の手当について、今回の改正で年収1200万円以上の高所得世帯は対象外となる法案が2021年5月21日に成立したばかり。「廃止の決まった5000円の手当を復活させてほしい」というのが立憲民主党の今回の要望です。
所得の多い少ないに関わらず、子育てをする全世帯に一定の給付を求めたと言えるでしょう。
出産や子育てがしやすい環境が求められますが、では肝心のこどもの数はどうなっているのでしょうか。次で出生数の推移をみていきましょう。
出生数84万人余で過去最少 婚姻件数も約52万組で戦後最少に
厚生労働省が2021年6月4日に発表した「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数))によると、出生数が84万832人で過去最小となりました。前年の86万5239人より2万4407人減少となっています。
また、婚姻件数も52万5490組で戦後最少を記録。さらに合計特殊出生率は1.34で、前年の1.36より低下を見せました。
結婚や出産にかかわる数値が軒並み減少傾向となっています。
このほか、出生数から死亡数を引いた自然増減数はマイナス53万1816人で、前年のマイナス51万5854人より1万5962人減少しています。
また自然増減率(人口を1000人としたときの発生比率)はマイナス4.3で、前年はマイナス4.2ですから、数、率ともに14年連続で減少かつ低下していることがわかります。
こどもの生まれる数が少なくなり、高齢化が急速に進んでいることを裏付けるデータとも言えそうです。
所得に関わらず子育て世帯の支援を
ここまで、立憲民主党の要望について、直近の出生数にも触れながら解説してきました。
長期化するコロナ禍でますます出産を控える夫婦が増える可能性があります。子育て世帯を支援する仕組みの構築は急務と言えるでしょう。
参考資料
- 立憲民主党「『子育て世帯給付金』 再支給法案」を衆院に提出
- 立憲民主党【法案提出にあたって】「『子育て世帯給付金』再支給法案」
- 立憲民主党「子ども総合基本法案」を衆院に提出
- 内閣府「児童手当制度のご案内」
- 立憲民主党「子ども総合基本法案」のポイント
- 厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)を公表します」
- 厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
齊藤 慧
