その一方で、ネット環境の整備やパソコン、プリンター購入がままならない世帯では学校から配布された教材で勉強するしかないのが現実。昨年の臨時休校中には、経済状況によって学習時間や勉強量に違いが出たのではないかと懸念する親も少なくなかったようです。
実際に筆者の周囲でも、オンライン対応をしている塾に駆け込んだ家庭もありました。また、筆者の子どもたちが通う小学校で休校明けに前学年に習った漢字の抜き打ちテストが行われた際、出来る子と出来ない子の差がこれまで以上にあったり、算数の計算力が一部の子を除くと全体的に落ちていたという話も聞こえてきました。
所得差による学力格差は拡大の一途
上記のように、コロナ禍でも高所得世帯では以前とあまり変わらない教育費を投入していることがうかがえます。事態が収束に向かい経済状況が好転しない限り、ますます教育費を削る世帯が増加し、所得差による学力格差が拡大の一途を辿ることは避けられないかもしれません。
このまま経済力の違いを発端とする学習機会の差、そして学力格差が見過ごされていけば、学歴の固定化が進み、かつてのような”苦学生が逆境を乗り越えて社会的に成功する”という話は完全に過去の遺物になってしまいそうです。
参考資料
- 家計調査(家計収支編)2020年(令和2年)平均(総務省統計局)
- 子どもの教育資金に関する調査 2021(ソニー生命保険株式会社)
- 臨時休校中の子どもの学習状況(2020年5月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
中山 まち子