新型コロナウイルスの感染拡大によって引き起こされた経済の停滞。ワクチン接種が進んでいる欧米からは経済活動再開という明るいニュースも聞こえてきますが、変異種の脅威もあり、手放しで喜ぶのはまだ早そうです。
景気が悪くなれば家計支出にも影響が出ますが、中でも教育費は直撃を受けやすい項目の一つ。しかし、コロナ禍以前の教育支出額と比べてみると、全ての年収世帯で減少しているというわけではないようです。
高所得世帯の教育費はコロナ禍でも”安泰”?
大都市圏を中心に中学受験が年々加熱し、地域間格差が出てきていることが取り沙汰されています。それと同様に影響が大きいのが所得による教育機会の格差です。
総務省の「家計調査(家計収支編)2020年(令和2年)平均」によると、勤労者世帯の教育支出の全体平均は1万6548円。前年(2019年)の1万8529円から約1割減となっています。
年収階級別に見てみると、たとえば年収450万円~500万円の世帯では1カ月平均7413円ですが、階級が最も高い年収1500万円以上の世帯では4万2044円。
この2つの年収階級の月あたりの教育費の差は6倍近くあるということになります。しかも、2018年、2019年の差は約5倍でしたから、2020年には差が広がったという結果になっています※。
ただし、ひと口に教育費といっても注意が必要です。家計調査の教育支出は「授業料等」「教科書・学習参考教材」「補習教育(学習塾の月謝等)」の3分類から成り立っています。
このうち授業料等は2020年度より私立高校無償化制度が拡充したこともあってか、幅広い年収層で前年より減少となっています。では、教育費の中でも経済状況の影響を受けやすい「補習教育(学習塾の月謝等)」で年収による違いは出ているのでしょうか。
※2020年の集計世帯数は、年収450万円~500万円:275、年収1500万円以上:116