老後の「貯蓄ゼロ」を回避するためには

それでは、老後「貯蓄ゼロ」という状態になるのを回避するためにできることを考えていきます。

まず、一番シンプルな方法が「貯金」でしょう。今から毎月コツコツと貯金をする方法であれば、着実に残高は増えていきます。

ただ、本当にそれだけが正しい方法といえるのでしょうか?以下のデータをご覧ください。

日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」(2020年8月21日)

家計の金融資産構成

日本

  • 現金・預金:54.2%
  • 債務証券:1.4%
  • 投資信託:3.4%
  • 株式等:9.6%
  • 保険・年金・定型保証:28.4%
  • その他計:2.9%

米国

  • 現金・預金:13.7%
  • 債務証券:6.0%
  • 投資信託:12.3%
  • 株式等:32.5%
  • 保険・年金・定型保証:32.6%
  • その他計:3.0%

この日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」は、日米の家計金融資産の割合を比べた調査データです。

日本は圧倒的に現金・預金の割合が多く、逆にアメリカは金融資産の半分を株や投資信託等の投資性商品で運用していることがお分かりいただけるかと思います。

では、この家計金融資産の割合の違いによって、日本とアメリカでは増え方がどのくらい違うのでしょうか?

金融審議会「市場ワーキング・グループ第21回 事務局説明資料」として提出された、金融庁「人生100年時代における資産形成」によると、日米の家計金融資産増加率は1998年からの20年間でアメリカが2.7倍、日本が1.4倍となっています。

増加率のうち、運用リターンによるものについてはアメリカが2.0倍、日本が1.2倍という結果でした。

この過去のデータを見てみると、貯金だけで資金形成を続けていくことが正解かどうかの答えは見えてきたのではないでしょうか。