公務員も退職手当以外に、老後資金の対策が必要
退職手当だけでは、悠々自適な老後生活を送ることは難しいことがお分かりいただけたのではないかと思います。
退職手当以外の対策としては、退職までに貯蓄をするという方法が考えられますが、重要なポイントはどのように貯蓄を行うかということです。
単純に積立貯金をしてもよいのですが、超低金利時代ではかなり効率の悪い増やし方と言わざるを得ません。
お金を効率的に増やす方法のひとつが、「資産運用」です。
運用という響きに対し、「リスクがあって怖い」というネガティブなイメージを持たれている方も少なくないでしょう。
しかし、これからお伝えするポイントを押さえれば、極力そのリスクを抑えることができ、まとまったお金を効率よく作っていくことに繋がります。
資産運用のポイント①「複利」
ひとつ目のポイントは「複利」です。これは運用から得られたリターンを受取らずに、そのつど運用に回して雪だるま式に資産を増やしていく運用方法です。
資産運用のポイント②「長期積立投資」
2つ目のポイントは「長期積立投資」です。一般的に、投資する期間が長ければ長い方ほど、リターンが大きくなる傾向があります。
さらに、決まったタイミングで、定期的に積立投資を行うことで買値が平準化され、いわゆる「高値づかみ(高いときに買ってしまうこと)」を防いでくれます。
この2つのポイントを押さえて投資を行ったと仮定し、月々3万円を30年間、年率6%の複利で運用できた場合、金融庁「資産運用シミュレーション」で試算すると約3000万円になります。一方、同じ期間、運用せずに預貯金で保有した場合は約1000万円なのでかなりの差がつきます。
また、最後にもう一つ押えて頂きたいポイントがリスク管理です。
資産運用のポイント③「リスク管理」
実は長期積立投資を複利で行う場合の最大のリスクは、「積立投資を継続できなくなる」ことです。
多くの場合、積立投資の原資は毎月の収入でしょう。そこで、想定外のケガや病気などによって運用が続けられなくなるリスクを想定し、最低限の備えをした上で運用を行うことが重要になってきます。
備えあれば憂いなし。「お金を育てる」視点を持とう
退職手当が充実している公務員であっても、意外と老後生活が安泰ではないという事実にはかなり驚かれた方も多いのではないでしょうか。
ただ、この話は公務員に限ったことではなく、それ以外の職業の方も含めて多くの方に当てはまる話でもあります。
悠々自適な老後生活を送るためには、自分に合ったお金の育て方を見つけることがたいせつです。
資産運用の「はじめの一歩」を踏み出すときは、お金のプロのアドバイスを参考になさるのもおススメです。
参考資料
- 内閣官房 内閣人事局「退職手当の支給状況(令和元年度退職者)」
- 総務省「平成31年4月1日地方公務員給与実態調査結果 第1 調査結果の概要」
- 厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況 退職給付(一時金・年金)の支給実態」
- 厚生労働省年金局 企業年金・個人年金課「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」
- 公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」
- LIFULL介護「老人ホームの費用相場」
- 金融庁「資産運用シミュレーション」
- マネイロ「資産運用はじめてガイド」
佐藤 雄基