貯蓄は生活に安心を与えるたいせつなものであることは、世代を超えて共通であるといえるでしょう。

とりわけ70代以降であれば、大多数の人が年金生活を送る世代。公的年金や身内の援助などによってギリギリで生活できていたとしても、いったん療養や介護が必要となったら老後破産一直線、などといった事態は避けたいものです。

次では、シルバー世代で深刻化する、「老後破産」の問題についてお話ししていきます。

「老後破産」とは?

「老後破産」という言葉を耳にされたことはありますか?

年金生活を送る高齢者が、年金や貯蓄だけでは生活ができず、資産が枯渇して破産してしまうことを、こう呼びます。

厚生労働省が公表している最新の「被保護者調査(令和3年2月分概数)」によると、生活保護を受給している方のうち55.5%を65歳以上の高齢者世帯が占めています。

年を重ねると、やはり仕事を見つけにくい、健康上の理由などで働けないといった事情を抱える人は増えます。そこで、年金が少ない、貯蓄がないといった場合、生活保護に頼らざるを得ない人が多い、ということが推測できそうです。

「老後破産」に陥りやすいパターン

では実際に、どういった方が老後破産に陥りやすいのでしょうか。いくつか考えられるケースを挙げます。

  1. 住宅ローンなどの残債がある
  2. 医療費や介護費が想定外にかかっている
  3. 生活水準を下げることができず、年金だけでは生活費が足りない

老後の生活の中で、支出がどのくらいになるかはご家庭の事情によって大きく異なります。住宅ローンの支払いが残っているご家庭もあれば、親の介護費用を負担したり、ご自身が要介護状態になったりするケースもあり得ますね。

ここで特に着目したいのが、3つめの「生活水準を下げることができない」ケースです。