ご自身の老後の生活に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

「ゆっくり旅行や趣味を楽しんでいるだろう」と明るい未来を想像されますか?

それとも「老後は安心して暮らせるのだろうか。お金はどのくらい貯めておけばいいのか分からない……」などと、不安な気持ちのほうが強いでしょうか……。

2019年、金融庁の報告書に端を発した「老後2000万円問題」をきっかけに、老後のお金について漠然とした不安を感じられる方が増えたように思います。

また、長引くコロナ禍で、先行きの見通しが立ちにくい今。「まさかのとき」に備えて貯蓄への意識が変わった、という方も多いでしょう。

今回は、70代以上の貯蓄事情をながめながら、ゆとりある年金生活を迎えるために意識しておきたいことを考えます。

70代以上世帯「無貯蓄世帯」が約2割

では、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」をもとに、70代・二人以上世帯の金融資産保有額について見ていきます。

金融資産保有額
70歳以上・二人以上世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)

平均:1786万円
中央値:1000万円

金融資産保有額の分布
70歳以上・二人以上世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)

金融資産非保有:18.6%
100万円未満:4.3%
100~200万円未満:4.1%
200~300万円未満:2.6%
300~400万円未満:3.0%
400~500万円未満:2.6%
500~700万円未満:6.5%
700~1000万円未満:6.3%
1000~1500万円未満:11.9%
1500~2000万円未満:8.0%
2000~3000万円未満:10.4%
3000万円以上:19.0%
無回答:3.3%

上記のデータで注目していただきたいのは、3000万円以上を保有する世帯と、金融資産を保有していない、つまり「無貯蓄」世帯が、それぞれ2割弱、ほぼ同じ割合で存在しているという点でしょう。