日米政府による監視とは何か

では、「日米政府による監視」という報道はどこから出てきたのでしょうか。

4月15日に日本経済新聞が「中国勢の楽天出資、政府「外為法で監視」 米懸念で説明」という記事を公開しています。

4月16日に日米首脳会議が行われ、日米合同声明が発表されました。この声明では、対中関係への言及はされていますが、質疑応答含めて、楽天への言及はありません。

4月20日には、共同通信が「日米、楽天を共同監視 中国への情報流出を警戒」と報道しており、これを根拠にして各種メディアが「監視」について報道するようになったとみられます。

テンセント子会社の出資がリスクと考えられる要因

テンセント子会社による出資がリスクとみられているのは、先ほど登場した「外国為替及び外国貿易法(外為法)」が根拠です。外為法は2017年・2019年に改正されています。財務省「最近の外為法改正」をもとに見ていきましょう。

<2017年改正>

(1)特定取得の事前届出制対象への追加
 国の安全を損なうおそれが大きい業種について、外国投資家による他の外国投資家からの非上場株式の取得を事前届出制の対象に追加しました。
(2)事後措置命令の導入
 無届けや虚偽届出により対内直接投資等を行った外国投資家等に対し、国の安全を損なうおそれがある場合には、株式売却等の措置命令を行うことができる制度を導入しました。

<2019年改正>

(1)取得時事前届出免除制度の導入
 一定の基準の遵守を前提に株式取得時の事前届出を免除する制度を導入しました。
(2)事前届出の対象の見直し
 上場会社の取得時事前届出の閾値を10%から1%に引き下げたほか、役員への就任及び指定業種に属する事業の譲渡・廃止について、行為時事前届出を導入しました。
(3)国内外の行政機関との情報連携の強化

つまり、今回のケースは「国の安全を損なうおそれが大きい業種」であるか、「株式取得時の事前届け出免除」に該当するかどうかがポイントです。

楽天は「楽天モバイル」で通信事業に参入しており、外為法における「事前届出対象業種」に該当します。

また、後者についても、「第三者割当による新株式の発行及び自己株式の処分に関するお知らせ」で公開された情報によると、Image Frame Investment (HK) Limited社は株式の3.65%を保有し、第6位の大株主です。