なぜ「築浅アパートの階段崩落事故死」は起きた? 大家さんの責任も重大

2021年4月、八王子にあるわずか築8年のアパートの階段が崩落して、住民の女性が転落死する事故がありました。

建設会社は業務上過失致死の疑いで警視庁の捜査を受けましたが、なんと自己破産を申請して逃げおおせようとしています。とはいえ、この事故は本当に建設会社だけの責任なのでしょうか? 実はこの問題、大家さんも責任を取る必要があるかもしれないのです。

そこで今回は、なぜ階段の崩落事故は起きたのか? 責任は誰にあるのか? そして、今後このような事故を防ぐために、大家さんはどうしたらいいのか? 一級建築施工管理技士の資格を持つ私、ウラケンが徹底解説します。

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階段崩落事故はなぜ起きたのか

まず、今回の階段崩落事故がなぜ起きたのか解説していきましょう。

捜査関係者によると、崩落した鉄骨製の階段は木製の踊り場とL字型の金具2個でつながれていて、階段側は溶接、踊り場側は3本のビスで固定されていたといいます。

踊り場の内部は床板で、表面をモルタルで覆われていました。これが風雨を受けて腐食したため、つなぎ目の金具と一緒に鉄骨の階段が落下したそうです。

このアパートを設計した設計士によると、この階段はすべて鉄骨製で設計されていたのに、施工の段階で踊り場の床が木製に変更されていたといいます。

私は過去何棟も鉄骨階段の現場を見てきましたが、一般的に外部階段は踊り場も含めてすべて鉄骨で作ります。すべて鉄骨製であれば、わずか築8年で崩壊するなどという事故は起こりえなかったと思いますが、なぜ踊り場だけを木製にしたのでしょうか?

私が思うに、これは単にコストダウンのためだと思います。もしオーナーがこの設計変更を知らない、もしくは認めていなかったのなら、明らかに施工業者の契約違反ということになるでしょう。

事故の責任は誰にあるのか

では、この事故の責任は一体誰にあるのでしょうか?

まず築8年の事故ということで、考えられるのは建設会社の責任です。役所の完成検査は受けていたということですから、違法ということではなさそうですが、何らかの施工不良があったのではないかということで、警察が捜査をしています。

ただ、仮に施工不良がなかったとしても、法律で瑕疵担保保証が10年間義務付けられていますし、本来鉄を使う場所に木材を使用していたわけですから、建設会社の責任は免れられないでしょう。

しかし、この会社自体がもう破産申請をしてしまったので、修繕工事はできませんし、今後社長個人を訴えるのかどうかが争点になると思います。

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執筆者
浦田 健
  • 浦田 健
  • 株式会社FPコミュニケーションズ 代表取締役
  • 一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)代表理事

明治大学商学部卒。2002年個人向け不動産コンサルティング会社を創業。2008年「すべての人に不動産の知識を」を使命としJ-RECを創設、同時に「不動産実務検定」を開始。全国35ヵ所以上に教室を開設し、いつでも、だれでも、どこでも不動産実務知識が学べる環境をつくる。2014年マレーシアに移住。国内はもとより海外の不動産コンサルティングを手がける。主な著書に「金持ち大家さん」シリーズ他、不動産関連書籍多数、発行部数は業界最多となる累計31万部超。ビジネス系YouTuber「ウラケン不動産」として、不動産、経済、金融に関する情報を配信中(2021年1月現在登録者76,000人)。