教育格差の原因についての回答では、全体で最も多かったのが「家庭の経済力」の25.3%。ここでも、「教育格差を感じているグループ」では31.7%、「感じていないグループ」では19.1%と開きがありました。

また、教育格差の原因を「本人の努力」とする割合は、「教育格差を感じているグループ」では9%。一方「感じていないグループ」では15.1%という結果で、格差を感じていないグループでは自己責任だとする回答が多くなっています。

このように、学習環境の違いをリアルに体感しているかどうかで、問題意識がはっきりと分かれているようです。

たしかに、「塾に通いたくても家庭の経済事情を考えると、そう言い出せない」という経験をしている子と、親が積極的に習い事を探して通わせている家庭の子では「教育格差」への距離感が大きく異なるのは当然のことでしょう。

格差への認識のズレが広がっている?

日本財団の調査結果では、同年代の中でも学習環境に恵まれているかどうかで教育格差に対する認識のズレがあることが見て取れます。

今後、教育格差が広がるかどうかについても、両者の未来への考え方は異なっています。特に気がかりなのは「教育格差を是正する必要があるか」との問いに対し、教育格差を感じているグループの71.4%が「必要」と答えていますが、「感じていないグループ」は「必要」が38.6%にとどまっている点です。

昨今の子どもの貧困問題や教育機会に関する議論においては、「自己責任」として片付けられることも見受けられます。格差を感じていないと、どうしても他人事になるのかもしれません。

今回紹介した調査の結果からもその傾向が明確に出ており、今後、認識の違いによる軋轢が増幅していかないか懸念されます。

参考資料

中山 まち子