トランプ氏勝利以降、自動車株の急上昇が目立つ
今から2週間強前の11月9日(水)、トランプ新大統領が誕生する可能性が高まったことを受けて、為替相場で一時101円/ドルの円高が進み、東京株式市場も急落しました。今振り返ると一瞬のトランプショックでしたが、金融市場が大混乱に陥ったことは確かです。
その後の相場回復はご存知の通りで、結果的には、この9日をボトムとした強烈なリバーサル・マーケットとなっています。
特に、為替相場が全くの想定外だった大幅な円安に振れていることもあり、自動車株の急上昇が目立っています。実は、トランプ氏の大統領選勝利から3~4日間は、自動車株のパフォーマンスはほぼ市場平均並みでした。しかし、為替相場が108円/ドルを超えたあたりから上昇ピッチが加速して現在に至っています。
輸出比率の高い富士重工やマツダの上昇率が突出
実際のパフォーマンスを見てみましょう。
急落した9日終値と、TOPIXが10日続伸となった24日(木)の終値を比較すると、TOPIXが+12.2%上昇、日経平均株価が+12.8%上昇しているのに対して、富士重工(7270)は+28.8%、マツダ(7261)は+22.9%、ホンダ(7267)は+19.8%、トヨタ自動車(7203)は+19.6%、ヤマハ発動機(7272)が+17.9%の上昇となっています。
為替のインパクトが直に効いてくる輸出比率の高い富士重工、マツダ、トヨタの上昇率が非常に高くなっているのは、純粋に円安進行を好感している証拠と言えましょう。また、ホンダとヤマハ発動機も海外事業の比率が高いため、円安の恩恵が大きいと見られていると考えられます。
三菱自動車とスズキの株価伸び悩みが顕著に
一方、三菱自動車(7211)は+1.6%、スズキ(7269)は+2.2%、日産自動車(7201)は+8.0%の上昇に止まっており、TOPIXなどの市場平均を大きく下回るパフォーマンスとなっています。特に、三菱自とスズキの株価伸び悩みが顕著であることが目につきます。
しかし、トランプ氏勝利から約2週間強、これらの自動車メーカーに何かネガティブなニュースが出たわけではありません。また、これらの株価不振組でも、円安進行による大きなメリットを享受する可能性が高く、業績面でのアドバンテージが小さいとは言えません。何が原因なのでしょうか。
トランプ相場前に上昇済み、利食い売りに押された公算
三菱自とスズキの2社は、トランプ相場が始まる前、大きな株価上昇を見せてきました。
三菱自は日産からゴーン会長の派遣による早期再建への高い期待がありました。また、スズキは、他社の株価が低迷する中で連日の年初来高値を更新するなど、“一人勝ち”状態が続いてきました。トランプ新大統領の誕生を契機とした相場反転に伴い、利益確定売りに押されたと見ていいでしょう。
逆に、この2週間にわたって不振だったこれらの自動車株に対する評価は、これからが正念場と言えるかもしれません。
LIMO編集部